「狭山再審を求める市民の会・こうべ」による、第10回座り込み行動が行なわれ、延べ40人余が集まった(5月15日、JR神戸駅前、写真左)。市民の会・こうべは12年1月に結成され、毎年5月に座り込み行動に取り組む。「差別裁判うちくだこう」を歌い、座り込みを開始した。
狭山事件は、埼玉県狭山市で1963年5月1日に女子高校生が誘拐・殺害され、被差別部落の青年、石川一雄さんが5月23日に不当に別件逮捕された。その「5月」にこだわる行動だ。逮捕された当時、石川さんは24歳、今年83歳になる。無実を訴え59年。狭山再審を求める運動を大きく広げ、9月に予定される三者協議(狭山弁護団、東京高裁、東京高検)、現場検証、証人・鑑定人尋問につなげていく。
今回は「狭山(差別)事件」紙芝居を上演した。真犯人を取り逃がした警察庁長官が国会で責任追及され、捜査に行き詰まった警察は付近の被差別部落に見込み捜査を集中。何の証拠もないまま石川さんを別件で不当に逮捕した。警察の留置場で孤立させて取り調べ、ウソの自白に誘導し、犯人にデッチ上げた。「犯人は、部落の者にちがいない」などの差別意識や、マスコミの偏向報道により、えん罪が生み出された。それらがわかりやすく説明される。
当時の社会状況をリアルに再現した資料も展示された。通りかかった30代の女性は「紙芝居でよくわかった。石川さんが来ていれば、もっとわかるね」と話していた。
リレーアピールでは、郵政解放研の労働者から「狭山にかかわり50年以上。反差別の運動を強めたい」。元教師は「差別問題に教師の立場から接した。石川さんは部落差別のもとで学校に行けなかった。学習でき、文字を得ていたら。教育の視点から見直していくことが大切」。地域の労働組合からは、差別と向き合う重要性が。日本キリスト教団の教会の方は「差別は人間の心と内面、社会的な面、さらに狭山は政治的な面も強い。1日も早く再審、無罪を」など発言があった。
用意したチラシをほとんど配り、再審を求める署名は93筆を超えた。新たな会員2人の申し込みがあった。石川一雄さんの「見えない手錠」をはずすために。(庄)