
小学生のころ、姉の友だちが沖縄から手紙をエアメールで送ってきたこと、兄がちょっとだけ民青に足をつっこんでいたので、『沖縄を返せ』を教えてもらったことが始まりです。1996年に沖縄本島、97年には石垣島へ家族旅行に行きました。2年続きで台風にあい、もうこりごりでした。
■沖縄のこころ(岩波新書 青版) 元沖縄県知事の太田昌秀さんの沖縄戦記です。1945年3月31日、太田さんは沖縄師範学校本科2年生の時に、鉄血勤皇隊の情報宣伝を担う千早隊に編入され、むごたらしい戦場を体験した。巻末の「人間としての証を求めて」の項で、久米島の日本軍による住民虐殺に触れ、この事件に対する日本国民の反応が無理解と無関心であると指摘しています。この新書、1973年の出版です。50年経っても、日本国民は変わっていません。
■焼きすてられた日の丸(社会批評社) 現在は読谷村で何我舎(ぬーがや)という民宿をしながら浄土真宗のお坊さんでもある知花昌一さんが、1987年10月26日、国体のソフトボール会場で掲揚された「日の丸」を引き降ろし、燃やした事件について書かれた本です。知花さんの半生やチビチリガマでの住民集団自死のことも含め、詳細に述べられています。
■「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯(講談社) 映画版(2019年公開) 本を書いたのも、映画の監督も、TBS現役社員である佐古忠彦さんです。放送局が、よくこういう映画をつくったなあと感心します。
本土の人間がのほほんと沖縄でゴルフを楽しみ、マリンスポーツに興じられるのも、沖縄の人たちがねばり強く毒ガス撤去、核兵器撤去の運動を続けたおかげだと、この映画を観て思いました。
ちなみに知花昌一さんのお父さんは、沖縄人民党の瀬長亀次郎の演説を立ち聞きしていただけで小禄の米軍基地を解雇されています。
■呼び寄せる島(光文社) 『豚の報い』で芥川賞を受賞した又吉栄喜さんの長編小説です。
夏目漱石ふうに言えば、「高等遊民」である諒太郎は、一流の脚本家を目指しています。人間観察をするために、生まれ故郷の湧田島で民宿を始めます。幼ななじみの修徳も村の公務員ですが、小説家を目指しています。修徳は一作品の小説も書いてないし、諒太郎と一緒に書く約束をした芝居の脚本も一行も筆が進んでいません。(秀)