報告会で発言する高東征二さん(8日、広島市)

広島地裁、伊方原発の運転差止裁判本訴の口頭弁論が開かれた(第28回、6月8日)。口頭弁論では切明千枝子さん(93)の意見陳述を裁判事務局が代読した。切明さんは「県立第二高等女学校4年生の時、原爆に遭った。15歳でした。動員先の専売局から病院に行く途中、比治山橋のたもとでした。ピカッと光って叩きつけられ、気がつくとガレキの下でした。なんとか這い出し市内の方を見ると、もう一面火の海だった」と。建物疎開作業に動員された下級生は一人を除いて全滅。その一人も37歳で胃がんが全身に転移して亡くなった。いとこのうち2人だけ助かり切明さんの家に逃げてきた。血便や高熱に苦しみ、一週間ほどして二人とも亡くなった。「被爆直後を生き延びても、放射能からは逃れられません」。
目に見えない放射能の怖さを体験した者として「裁判長、私は原子力なんて、核兵器なんて人間がいじってはいけないと思います。いのちにどんな恐ろしいものをもたらすか。人間が核や原子力を制御できると思っているのか、事故が起きたらどうするのか」と訴えた。
報告会では新たに提訴に加わった「黒い雨」裁判原告の高東征二さんが「私がここにいるのは、黒い雨被害者と原発被害者は同じだから。放射性微粒子が体に入り内部被曝をする。この裁判はそれを第一に取り上げ、原発を止めようとしており、私の思いと一致する」と話した。 (江田 宏)