ひめゆりの沖縄戦

6月23日は「慰霊の日」。沖縄県だけの「お休みの日」と知ったのは、ふるさと納税のことで沖縄県庁に電話した時、全然つながらなくて、翌24日に聞いて初めて知ったのです。ほんの5年ほど前のことです。
■ひめゆりの沖縄戦(岩波ジュニア新書)
著者の伊佐園子さんは名護の県立第三女学校から、1943年に那覇の師範学校女子部本科に進学。45年3月に卒業できるはずでしたが、軍により意図的に卒業式が延ばされ、3月29日夜の10時に卒業式が行なわれたそうです。
4月24日、南風原(はえばる)陸軍病院第二外科に配属され、看護助手業務を行ないました。重傷の兵隊を「第3報患者」と呼び、見捨てていったそうです。牛島司令官は6月22日に自決しますが、自決前の6月19日、軍幹部はビールで宴会をしています。この辺り、原爆投下で阿鼻叫喚の状態にあった広島をよそ眼に、皇居でアイスティを飲んでいた皇族と一緒です。
■証言記録・沖縄住民虐殺(人物往来社)
作家の佐木隆三さんがまとめた本。沖縄戦における日本軍による住民虐殺について、10件の証言を載せています。なかでも、久米島に通信隊長・鹿山正による惨殺事件は本当に酷いものです。鹿山は5家族22人の住民を虐殺しました。家に火を放ち「火葬」にしたこともあったのです。戦後、琉球新報にインタビュー記事が載り沖縄県民の怒りをかいました。テレビに出演、住民虐殺を居直りました。
■沖縄「戦後」ゼロ年(生活人新書)
戦後60年を経て「沖縄に戦後はあったのか?」と問いかける、目取真俊(めどるましゅん)さんの本。前半に目取真さんのお父さん、お母さん、お祖父さんが体験した沖縄戦前後の過酷な生活が語られています。目取真さんのお母さん家族が屋我地(やがち)島に住んでおり、島にあったハンセン病療養所・愛楽園も言及されています。愛楽園は、日本軍の基地と間違えられ爆撃されました。
■菜の花の沖縄日記(ヘウレーカ出版) 映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』
石川県の坂本菜の花さんが、北陸中日新聞に連載したコラムが本に。映画は、当初沖縄テレビのドキュメンタリーとして放送されました。内容がより濃くなって劇場版が公開されました。那覇のフリースクール珊瑚舎スコーレに通う15歳の少女が体験し、考えた沖縄の文化、歴史、基地問題を描いています。
■怒り(中公文庫)(映画は2016年公開)
芥川賞作家の吉田修一さんのミステリー小説です。八王子で起きた殺人事件の犯人と思しき男たちが、それぞれ千葉、東京、沖縄に現れます。ネタばれになりますが、犯人は沖縄の無人島に隠れていた男。そいつが、バイト先の民宿で熱帯魚の水槽を壊すシーンが強烈です。      (秀)