誰もいない広場では 
             渡辺信雄 
 
  もぎとられた花々の 首と
  羽毛が落ちている広場
  抵抗者の喉は 切り裂かれ
  制圧された空に
  行き場を失った 鳥たちは
  互いの頭を小突き合う
  いつもなら明滅する ホタルの
  愛のシグナルを
  手を繋いで 見ている季節
  殺された友のために
  花も飾ることができない
  広場に 人が集まり
  にぎやかに 声と声が 響き合う
  時代を描いている
  息をしている ホタルの 光