ニライカナイからの手紙

沖縄は日本に返還されたのか、それとも復帰したのか。どちらにしても日本の〝植民地〟であるという事実は変わらないと思います。言い方は悪いのですが、日本とアメリカで沖縄を食いもんにしているのです。
あの大英帝国さえ、香港を99年目にして中国に返還しました。このまま20数年後になれば、「アメリカ世」は100年を超えてしまいます。沖縄のおかれた現状、全ての根源は日本の明治以来の国策にあります。
■フォトストーリー沖縄の70年(岩波新書/赤版)
沖縄出身の「戦場(おもにベトナム)カメラマン」の石川文洋さんが写真(自身の作品だけでない)と文章で沖縄の戦後70年を語っています。
サイパン、テニアンにも沖縄からの移住者は多く、アメリカ軍の攻撃によってこれらの人たちの集団自決が相次ぎました。サイパンのバンザイクリフでの投身自殺は、テレビで見たことがあります。テニアン島からは広島に原爆を投下するエノラ・ゲイが発進、ハゴイ飛行場から飛び立ちました。
■琉球処分(講談社文庫/上下)
大城立裕さんが「琉球処分」の過程を、琉球王朝側から描いた小説です。琉球新報に1959年から60年にかけ連載され、2010年に講談社文庫になりました。「琉球処分」は、明治6年の政変で征韓派を政府から追い出した内務卿・大久保利通によって進められました。大久保の意を受けて動いたのが内務大丞・松田道之でした。
清との関係を断ち、日本の沖縄県になるように迫る松田処分官。琉球王国の貴族、官僚は開化党、頑固党に分かれ国論はまとまりません。のらりくらりと日本の要求をかわすのですが、1878年に暗殺された大久保の後継者伊藤博文は、一気に「琉球処分」を推し進めました。そして1879年、琉球王朝は沖縄県となり、尚泰、尚典は、華族に叙せられ東京に住まわされました。
アメリカの大統領であったグラントは、沖縄の北を日本に、南を清に、中央を琉球王国に、という三分割案を1880年に提案したそうです。
■偉大なる祖国アメリカ(河出書房新社)
佐木隆三さんが実際にあった事件を基にした小説です。少女殺人を犯した混血青年がアメリカ大統領に手紙を送る形式で書かれています。
沖縄女性とフィリッピン系米兵との間に生まれた与那城修は、一見白人青年で学業も優秀、父の祖国アメリカに憧れますが、けっきょく下校途中の小学生の女の子に手をかけてしまいました。「復帰」前の混血青年の苦悩が描かれます。
■ニライカナイからの手紙(2005年公開の映画)
沖縄県の離島・竹富島に住む6歳の少女風希は、郵便局で働くおじいさんと暮らしています。カメラマンだったお父さんは早く亡くなり、お母さんも病気治療のために東京に行っているからです。
そのお母さんから、誕生日ごとに風希に手紙が届きます。やがて18歳になった風希は、カメラマン助手として働くために上京します。そして、お母さんからの手紙の消印を頼りにお母さんを訪ね歩きます。
映画には蒼井優、南果歩、平良進らが出演しています。     (秀)