先月15日に会期を終了した通常国会では、非常に問題のある法案がいくつも成立した。4月に成立した「警察法改正案」や6月に成立した「侮辱罪の厳罰化」などもそうである。
6日に大阪市内で行われた集会で、関西救援連絡センターの永井美由紀さんがその問題点を指摘した。まず「警察法改正」で警察庁に新設されたサイバー警察局である。
戦前の警察は内務省が一括管轄する中央集権型の組織で、特高警察による拷問などの様々な弾圧が行われた。その反省を踏まえて、中央集権的な国家警察が否定され、都道府県単位の地方警察が警察活動を行うことになった。ところがサイバー警察局の新設によって、警察庁がこれまで認められていなかった犯罪捜査ができるようになった。これは戦前の国家警察・特高警察の復活につながる恐れがある。
サイバー犯罪対策としては、すでに13の都道府県の警察に「サイバー攻撃特別捜査隊」が設置されている。そこでは電子メールやSNSなどの個人データも監視・収集されている。そうした膨大なデータをサイバー警察局が一括管理すれば、市民に対する巨大な監視システムが構築される。それが「今のままでは対応できない」という形で何の検証もなく通ってしまったのだ。「侮辱罪の厳罰化」がどんな形で使われるのかが分らない。それが批判的な言論の萎縮につながる可能性もある。「政府を監視し、政権交代によって法律を改正しよう」と永井さんは訴えた。 (池内潤子)