
沖縄関連本のごくごく一部を紹介してきましたが、知ったかぶりをしているだけじゃないのかと思ってしまいます。
■『殉国』〜陸軍二等兵比嘉真一 『総員起シ』〜剃刀(文春文庫)
『殉国』〜吉村昭が沖縄戦を描いた小説。沖縄県立第一中学校生、14歳の比嘉真一は鉄血勤皇隊に。地上戦が始まると食料運搬、負傷兵の後方移送の任務に従事します。「4月29日の天長節には総攻撃がある」などを真に受けますが、実際は、雨に打たれ、壕から壕へと逃げ惑うだけ。泥と膿と蛆と死臭。むごたらしい戦場の現実が描かれます。
『剃刀』〜これも吉村昭の小説。那覇の理髪店主、比嘉仁才さんは32軍司令部の散髪係として働きました。軍司令部には、那覇の遊里の女性たちが表向き炊事係として、高級将校の相手をさせられていた。6月19日、摩文仁に追いつめられた将校たちは、缶詰とビールで宴会。そして6月23日、まず長勇・参謀長が坂口大尉の、続いて牛島司令官が藤田曹長の介錯で自決しました。
■命こそ宝〜沖縄反戦の心(岩波新書・赤版)
伊江島の反戦地主であった阿波根昌鴻さんが90歳の時に出した本。阿波根さんは、独力で反戦平和資料館(ヌチドゥタカラの家)と、やすらぎの家を建設しました。この本は、沖縄の反基地、反安保、反戦地主運動の原点を語っています。
63歳の時に東京の中央労働学院に学んだ阿波根さん、「頭の勉強と心の勉強」が必要であると。一番印象に残ったのは、「原爆を落とした国より、落とさせた国の罪は重い」という言葉。明治以降の政府の責任を言い当てていると思います。
■わが沖縄ノート(潮出版) 作家の佐木隆三さんは、1971年5月から2年間、沖縄のコザ市(現沖縄市)に住み、返還前後の沖縄をレポートしました。
その中に、自衛隊にまつわる話が出てきます。72年7月に発生した台風7号により、北大東島・南大東島へお米が運べなくなったのです。当時県知事・屋良朝苗さんは南西航空やアメリカ軍にもコメの輸送を依頼しますが断られ、自衛隊に。自衛隊は二つ返事でオーケー。しかし革新団体は「自衛隊にお願いするとは」と強く屋良知事を批判しました。沖縄のおかれた立場を象徴していると思いました。
■深呼吸の必要
(2004年公開/映画)
映画の題名は長田弘さんの詩集から。沖縄の離島のサトウキビ畑に若者5人がアルバイトにやってきます。みんないろんなことを抱えている、よくある青春映画のパターン。サトウキビって1月から3月に刈り取るのですね。セリフに出てくる「なんくるないさー」。いい言葉だと思いました。
出演は、香里奈・谷原章介・大森南朋・北村三郎ほか。(秀)(おわり)