5月25日、京都地裁はフェミ科研費裁判で原告の訴えを全面棄却する不当判決を出した。
事件の発端は、14年度から17年度に、日本学術振興会の科学研究費助成を受けた、7人の研究者による「ジェンダー平等社会の実現に資する研究と運動の架橋とネットワーキング」の共同研究にたいして、杉田水脈自民党衆議院議員が、「研究は、ねつ造である」とか「研究費に不正使用がある」などの誹謗中傷をSNSなどでおこなったことである。
7人の研究者の一人である古久保さくらさんが、7月23日、滋賀県大津市の講演会で、この裁判について詳しく報告した(写真上)。古久保さんは現在、大阪公立大学人権問題研究センター所長。
杉田議員の誹謗中傷に対して、牟田和恵さん、(大阪大)岡野八代さん(同志社大)、伊田久美子さん(大阪府立大、当時)、そして当時大阪市立大の古久保さんら4人が原告になり、名誉毀損による損害賠償と謝罪を求めて、19年2月に京都地裁に提訴した。
研究者にとって、研究を「ねつ造」扱いされたり、「金銭の不正使用」と言われることは致命的であり、杉田発言のデタラメさを専門家の意見書などを駆使して裁判で検証した。杉田側の反論は、ねつ造とは「政府見解と異なる」という意味で、「単なる意見論評にすぎない」、とまともな反論はしていない。しかし判決は、原告の訴えの全面棄却で、名誉毀損の指摘に正当な判断をしていなかった。
古久保さんは、「ジェンダー平等をめざすたたかいのなかで、歴史上どれだけ多くの女性たちがつらい思いや苦しいたたかいをしてきたか、この歴史をなきものにすることなどできない、私達は控訴してとことんたたかう」と述べた。(多賀信介)