岸田政権による「安倍国葬」強行方針は、コロナ禍の現場に大きな悪影響を引き起こしている。法律に定められてもいない、しかも国政を私物化した安倍に税金を使った「国葬」など論外だろう。法曹界をはじめ各方面から「国葬反対」の声明が出され、文春のアンケートでは「国葬反対79・7%」という結果まで出た。「国葬へつぎこまれる税金はオリンピック同様、電通などに流れるのでは」という新たな汚職を懸念する声もある。
 にもかかわらず、岸田政権は「国葬強行」に突進している。こじつけた理由の一つが「国葬については、すでに国交関係を持つ国すべてに通知した」というもの(磯崎官房副長官、7月25日)。しかし、「外国首脳のために行なう国葬」という理由そのものが、国内の圧倒的多数から否定されている現実を暗示している。
 
オリンピック時の再現
 
 もう一方で「国葬強行」は、コロナ対策に大きな障害となっている。WHOは7月27日、「新規感染者は日本が世界最多」と報告した。外国首脳を呼ぶどころではなく、日本が世界中から渡航禁止扱いにされかねない状況がある。そんななか、岸田政権は現状を「コロナ第7波」と明言せずに、なるべく被害が小さく見えるように世論を誘導しようとしている。
 東京オリンピックを強行するために、コロナ感染と医療崩壊の現状を隠蔽し、被害を拡大した過ちを繰り返すものだ。岸田首相は、各国首脳とその膨大な随行者のために、いま逼迫する医療現場から医師や看護師を引き抜こうというのだろうか。
 
コロナ対策に全力を
 
 こうした影響は、私たち介護現場でも深刻になっている。厚生労働省のコロナ対策への積極的動きが、現場からはまったく感じられない。逆に「10月から始まる厚労省の新制度に対する申請書、計画書を8月31日までに提出するように」と、オミクロンBA‐5に脅かされる現場を無視した圧力をかけてくる始末。いま、私の職場の管理者はお子さんと一緒に発熱しており、しばらく事務所に出てこられない。私も含めたスタッフはシフトの穴埋めが精一杯、とても新規の書類を書く時間などない。現場の崖っぷち状況と厚労省官僚との乖離が、とりわけ第7波では顕著になっている。いま逼迫が進む医療現場と介護現場を建て直すために、あらためて現場労働者と社会的な力を集めなければならない。
 「安倍国葬」をただちに中止させ、コロナ対策に全力で取り組める状況をつくることこそ求められる。