知事選勝利で少し元気が出ました。
 今回は一部市町村の首長、市町村議員選挙、県議補選も行われました。県議補選ではオール沖縄側が勝ちましたが、宜野湾市長選では負け、名護市議員選挙でも辺野古反対議員が過半数を割り、全面勝利とはいきませんでした。それでも、知事選勝利は本土に、政権に、届くと思われます。気持ちが前向きになります。
 今回の知事選では自公政権による経済振興での、あからさまなイジメがありました。
 投票日近くの8月は、国の予算を作るため各省庁が要求する時期です。選挙戦の中での予算要求となりました。沖縄への予算は内閣府が作ります。予算要求だから多めに要求しますが、それでも2798億円。昨年の要求額より200億円少ない。要求額ですから、実際には査定され、これより少なくなります。
 辺野古埋め立てを承認した仲井眞知事の時は、要求額よりも多い3501億円が下りて来ました。明らかに、政権の意図がみえています。
 自公政権の推す候補は、政府とのパイプを強調しました。『琉球新報』8月30日の記事には、自民の閣僚経験者が「佐喜眞氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいいとあからさまに語っていた」とありました。予算要求を減額しておいて、自公が推す候補が勝利すれば増やせばよいというのです。そこに、「政府とのパイプ」が選挙戦に使われるのです。
 9月13日の『琉球新報』。「再選した玉城知事に聞く」というインタビュー記事がありました。記者から、辺野古新基地反対の取り組みに、「政府や官僚にカウンターパート(対応相手)がいるのか」と訊かれ、知事は「大田昌秀県政時代からの政府のカウンターパートは、政府の意見を県民に納得させる役割を演じた。政府にカウンターパートを求めるより、世界に問題を提起する方が幅広いカウンターパートが得られる」と語っています。
 デニー知事の答えは国連での訴えを念頭に置いていると思えますが、政府とのパイプ役はいないのです。かつて翁長知事は、「品位ある民主主義」を求めました。気に入らない知事だからといって予算を減額するなどは、品位がありません。辺野古反対だからといって差別することは、品位に欠けます。選挙で民意を問い、その結果を尊重する民主主義であれば、本来パイプ役はいらないのです。
 沖縄は、県民投票でも民意を示しています。参議院選挙でも辺野古を焦点にし、民意を示しました。良識ある自民党議員なら、聞く耳を持たなければまずいと思うはずでしょうが … 。統一教会との絡みをみても、党利党略で動く議員がいかに多いか。それが政権中枢におり、私たちに絶望感を与えています。
 玉城知事の当選が決まった翌12日、松野官房長官は午前の記者会見で「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返しました。せっかく前向きになった気持ちも、失せてしまいそうです。
 そして辺野古では工事が再開され、オール沖縄から「活動」再開を告げるFAXが入りました。私たちは座り込むしかないのでしょうか。
(富樫 守)