
「世界は今や大きな転換点にある」。かつては政治党派の論文の常套句であった。正直に言うと、この数十年、この常套句にいささか疑いの眼差しを向けてきた▼しかしこの1、2年の世界の動きは、本当に転換点がきているのかも知れないと思わせる。新型コロナの流行、ウクライナ戦争、米中対立、米露対立の顕在化。いずれも第二次大戦後の世界体制が大きく変わってきていることを実感させる▼アメリカの覇権は末期的だ。ブレトンウッズ体制(ドル金兌換体制→ドルショック→ペトロダラー〔オイルマネー〕による世界統制の時代)は、もうすぐ終わるだろう。世界経済の基軸通貨がドルだった時代が終わろうとしているのだ▼この100年、人びとは「アメリカの目」を通して世界を見てきた。その歴史も終焉しそうだ。ロシアも中国も明確に「多極化」した次の世界を見すえている。もはやアメリカを軸とした一極的な世界は過去のものとなっていくのだろう。本当の転換点である。(秋)