リラッキングの概念図(原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会資料より)

 原発を稼働することによって増え続ける使用済み核燃料。これらを処理するはずの核燃サイクルは失敗し、中間貯蔵地の目途もつかない。行き場のない使用済み核燃料はどのように貯蔵されているのか。いま各地の原発で「リラッキング」と呼ばれる方法が取られている。その危険性について、フリーライターで市民環境研究所理事の守田敏也さんが講演した(11月26日、大阪市内の集会で)。
 行き場のない使用済み核燃料は、各原発の使用済み燃料プールに保管されている。当初の設計どおりであれば燃料プールはすでに容量オーバーになっているはずだが、そうなっていない。
 なぜなのか。それはリラッキングという手法をとっているからだ。使用済み核燃料は、ラックセル(貯蔵容器)に入れて、水を張ったプールの中で保管される。使用済み核燃料は高熱を発し続けているため、核分裂を避けるために間隔を空けて保管しなければならない。満杯になった燃料プールに、新たに使用済み核燃料を保管するために、本来確保しなければならないラックとラックの間隔を狭めることをリラッキングという(図参照)。これはきわめて危険な方法だ。
 守田さんは、リラッキングが引き起こすジルコニウム火災について次のように説明した。燃料棒をギュウギュウ詰めにすると水温が上昇し、蒸発によって水位が低下する。水を補給できなければジルコニウム合金でできた被覆管が水蒸気と反応して水素を発生させ、水素爆発と火災を引き起こす。それが燃料プール全体に広がれば、大量の放射能が外部に放出されるのだ。
守田さんは「原発の運転を強行するために安全マージン(余裕)が著しく削られている。まずはリラッキングを行っている原発を停止すべきだ。その上でより安全な核燃料の管理が必要だ」と語気を強めた。関西圏でリラッキングを行っている原発は、美浜2、3号と高浜3、4号Aエリアである。   (池内潤子)