千葉地裁(民事第4部、中村さとみ裁判官)は、市東孝雄さん(成田市天神峰)と三里塚芝山連合空港反対同盟に11月22日付で、市東さんの農地と建物を強制的に取り上げる「授権決定」を通告した。56年におよぶ成田空港反対闘争の重大局面に立ち向かう市東孝雄さんと萩原富夫さん(成田市東峰)に話を聞いた。(11月27日/文責:本紙編集委員会)

 —まず11月22日の千葉地裁の授権決定について伺います
 市東 俺の場合は今までの経過を考えるとそんなにビックリしていないんですよ。いつかは来ると分かっていたし、「やっぱりな」と言う気持ちの方が強かったですね。
 萩原 俺の方は、できれば審尋という形で裁判をやりたかったね。でもまあ「やっぱりそうか」というくらいの感じでしたね。ただ、こちらが出した「審尋書」をろくに見もしないで決定を出しているので、それには腹が立ちましたね。
 市東 (農地法裁判ややぐら裁判で)負けたのは悔しいけれど、俺から言わせると「よくもってるな」って感じです。それには皆さんの力があります。そういう意味で、そんなにショックというのはなかったですね。これから先どうやっていくのか、それが大事です。
 萩原 (2016年12月の農地法裁判の確定判決から)もう長いですからね。ずっと覚悟を迫られてきたわけですから、こちらはもう「いつでも来い」というくらいのいきおいできたからね。
 市東 反対同盟の闘いは何があろうとずうっと続いていくんだから。それを何かあるたんびにちょこちょこ、(空港会社は)つまんないところを突いてくるからさ。

 —市東さんのお気持ちは変わりないと
 市東 やっぱり、生き方を決めちゃってるからね。いつも言うんだけれども、48歳で天神峰に来たときには、もう気持ちは固まっちゃってたしね。
 萩原 この強引さを見ると、岸田政権のやり方が貫かれているのかな。戦争に向かって情勢がきな臭くなっている中で、港湾や空港は軍事で使うんだという方針を防衛省は出していますから。

 —強引さは空港会社が方針を転換したということでしょうか
 市東 第3滑走路の用地買収にしても、最初の頃と比べるとひどいらしいですよ。底地も更地にするのも、空港会社がやるんじゃなくて、自分でやらなければならないらしい。それが嫌なら「残ってもいいけど、騒音がうるさいですよ」みたいな、脅しのようなことをやっているんですよね。

 —10月の全国集会で地球環境問題として成田空港問題を提起されました。また反対同盟の有機・無農薬、産直、多品種生産は未来社会を先取りしているように思います
 萩原 気候問題は向こうにとってもネックです。脱炭素が問題になっているときに空港拡張なんてありえない。世界中の若者たちも関心をもっています。彼らの闘いと連携できればいいなと思います。いま家族農業とか小農とかが推奨されているけど、生産者個人に農業経営を押しつけるやり方では限界がある。やはり、農業をやりたい人、やれる人が集まることができるシステムを社会的に作らないと。大規模農業ではない、労働者協同組合のようなものが参考になりますね。

 —最後に、今後のお気持ちを
 市東 これから先どんなことがあっても、今あるものでやるしかないし、それで十分やっていけると思う。そういう面で今回の裁判所の決定が出たからといって、これからどうしようかとか頭を悩ますなんてことはないので安心してください。以前と変わらずがんばりますので、よろしくお願いします。
 萩原 節目、節目で闘いをしっかり取り組んで、空港周辺のビラまきや、騒音下で深夜早朝の飛行差し止めの訴訟を起こしている人たちと連携して、全体の運動の盛り上がりで執行をさせない状況を作りたいですね。三里塚が直面している状況は大きな問題なので、全国各地で訴えて運動を広めてほしいですね。
—市東さん、萩原さんありがとうございました