
経済産業省は11月28日の審議会で、福島原発事故後、原発の運転期間を「原則40年最長60年」と定めた現行ルールや、「原発の新増設は想定しない」としてきた政府見解を大転換する「アクションプラン」を示した。そこでは、「原則40年最長60年ルールは残した上で、東日本大震災後の停止期間を除外して運転期間を延ばす」「廃止が決定した原子炉を建て替えの対象とする」とされている。岸田首相が8月に原発政策の見直しの検討を指示してわずか3カ月という拙速な提案の仕方に、委員の中から「もっと丁寧な議論をすべき」「再生可能エネルギーの活用に舵を切れないのか」など批判の声が上がっている。
こうした中、運転期間が46年を超えているにもかかわらず現在稼働中の関西電力美浜3号機(福井県美浜町)の即時運転停止と廃炉を求める全国集会が、12月4日、関西電力本店前(大阪市北区)で開かれ、900人が参加した。
集会で発言した、美浜町に隣接する敦賀市の市会議委員、山本貴美子(きよこ)さんは、「美浜原発は敦賀半島にある。もし事故が起きれば、美浜町民だけでなく敦賀市民や福井県民が被害を余儀なくされる」と話した。山本さんによれば、美浜町民を対象にした避難計画にかんするアンケート調査で、町民に配布されている「原子力防災のしおり」の内容を理解している人は28%に過ぎず、半数以上が一度避難すれば、二度と美浜に帰って来られないと思っていることが明らかになった。アンケートには「職場、地域、親戚に原発関連の人が多く、町内では原発について話すことができない」「常に先の見えない不安を背負って生活している」「事故が発生しないようにいつも祈っている」など町民の切実な声が寄せられた。山本さんは「国の避難訓練はあまりに非現実的。命と健康を守るためには原発の廃炉しかない」と訴えた。
集会後、参加者は大阪のメインストリート・御堂筋をデモ行進し沿道の市民に「老朽原発を動かすな!」と訴えた。