関西地区生コン支部に対する攻撃の渦中にある組合員たちの姿を描いたドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』。その上映会が、11月25日、神戸市内で開かれた。主催は労働組合つぶしを許さない兵庫の会。同会の総会の第2部で上映された。
映画には、関西生コン事件の弁護団の久堀文弁護士や、シングルマザーで子育てしながら生コン車ドライバーになった松尾聖子さん、加茂生コン事件当該の吉田修さんなど関西生コン支部の組合員の思いや、関西生コン支部執行委員長の湯川裕司さんの姿などが描き出されている。劇場でも上映される。「関西生コン事件」を知るためには必見の映画だ。
上映後、松尾聖子さんと湯川委員長が発言した。(左に要旨を掲載)

労働組合全体への攻撃

総会では事務局の森哲二さんが「関生支部への弾圧を労働組合全体の攻撃ととらえ、単なる支援ではなく、組合つぶしを許さないという立場で運動してきた。検察や警察が組合脱退を強要している。労働事件として戦後最大の刑事弾圧に全力で反撃を」と訴えた。
弁護団の森博行弁護士は関西生コン裁判の到達点として、直接の労使関係に立つ者の間の団体行動でなくても、憲法28条の団結権保障の対象に含まれると判示があったことをあげた。また、タイヨー生コン事件では、武建一前委員長が金銭交付を要求した事実が認められず無罪判決を勝ち取った。加茂生コン事件では就労証明書の交付は社会生活上受忍すべきとして無罪判決をかちとった。
今後の課題は、滋賀コンプラ事件で「建築現場における法令違反に対するコンプライアンス啓蒙活動」が認められるかどうかで、来年3月2日の判決が注目される。
検察官が取調べで「連帯、どんどん削っていきますよ」と発言している録画が示された。森弁護士は「国家的不当労働行為(組合切り崩し)が問われている。裁判には多くの結集を」と訴えた。
来年1月1日午前10時には、「労働組合つぶしを許さない元旦行動」が大阪府警本部前で取り組まれる。(高崎)

ストが当たり前の社会に
関西地区生コン支部 松尾聖子さん
ご支援ありがとうございます。関生支部はイメージも悪く、よく思っていない人も多いのでは。労働組合として闘い続ける生の姿を見てもらえたら。「憲法で保障されているのに、なぜ捕まるの?」という意見も聞きます。吉田さんの加茂生コン事件は、逆転無罪判決。大阪高裁では、正当な労働組合活動であると認められた。弾圧が始まり職場を奪われ、家族4人が生活も苦しい中、仲間にも裏切られた。いろいろ積み重なり不整脈になり、心もしんどく。だけど関生支部の仲間は私に寄り添ってくれ、元気になりました。
「なぜ、関生支部を辞めないの?」と、よく聞かれます。誰も悪いことはしていない。脱退すれば攻撃を認めたことになる。やられっぱなし、泣き寝入りはしたくない、絶対に負けたくない。3人の子を育てられたのも組合のおかげ。ストライキがあたり前の社会にしていきたい。多くの人にこの映画を見てもらいたいと思います。

彼らの横暴は続かない
関生支部執行委員長 湯川裕司さん

「兵庫の会」を発足させた小西純一郎さん(ひょうごユニオン事務局長)が亡くなられた。私たちは、弾圧で横のつながりがすごく大事と教えられた。弾圧で組合員も減った。権力、経営は総がかりで関生を潰しにきた。しかし、勝算がないわけではない。私たちは業界の歴史を知っている。彼らの横暴は長くは続かない。より闘う組合へ、 新たな世代で関生支部を運営していことを組合員と共に決意している。みなさんの理解と協力で今日の私たちがあります。私たちは、弾圧でさらなる覚悟を持った。ボロボロにされ、笑いと苦しみを共にしてきた仲間が裏切るなど想像を絶する状況だった。それは今も続くが、それを反面教師として今の仲間が固まっていけば、関生支部はさらに強くなる。映画の題名どおり闘いは「ここから」。絶対にあきらめない。最後まで闘い、この状況を必ず乗り越える。みなさんとしっかり協力し、共闘して前進します。