
全斗煥軍事政権下、ソウル大生パク・ジョンチョルが「北のスパイ」として取調中、警察庁治安本部南営洞対共分室内で拷問され亡くなる。
隠蔽のため遺体を火葬にしろとの本部長命令。上からの圧力に抗し、検事は検死解剖で対抗し、拷問死が明らかになった。警察は担当刑事2名の逮捕で収束をはかるが、新聞記者や刑務所看守らが事実をつかみ真実を追求する。
警察・権力と、検事、新聞記者、指名手配の民主化活動家、刑務所看守、その姪らによる激しい抗争が交錯、合流する。延世大生イ・ハニョルがデモの際、催涙弾の水平撃ちで亡くなるや、ソウルをはじめ釜山・大邱・大田・光州・春川など、全土に「6月民主化抗争」が発展し拡がる。

エンディングは、「6・29民主化宣言(大統領直接選挙の実施)」を実現し、イ・ハニョルの葬儀に集まった100万人の全体像が実写で映し出される。集会演壇の牧師が、チョン・テイル烈士からイ・ハニョル烈士まで民主化闘争で倒れた烈士の名を、一人ひとり叫ぶ慟哭の姿が、『その日来たりなば』の歌をバックに映し出される。このエンディングシーンは何度見ても、涙がとまらない。
パク・クネ政権下で監督はブラック・リストに入っているため、映画は秘密裡にシナリオ作成が始まった。この映画の作成過程そのものが、キャンドルデモの成長と共にある。700万人が観た。
80年の光州蜂起(映画『タクシー運転手~約束は海を越えて』が有名)から、87年民主化抗争、そしてキャンドル革命と韓国の民主化闘争が多くの烈士の尊い犠牲の上に、韓国民衆自らによって闘いとられたという、苦難の歴史の一幕を見せてくれる。(石)