
統一教会は、「神によって清められた女性が子どもを産み、人類の救済を実現する」という教義を基に同性婚を「人類を絶滅に導く許しがたい蛮行」と否定する。
統一協会の教義には徹頭徹尾、女性差別と性的マイノリティ差別が貫かれている。こうした点で自民党の保守政治家たちと共鳴し合っているのだ。統一協会系の学者は「同性愛は精神障害、または依存症」と非科学的な主張を繰り返し、同性愛者に「転向療法」を推奨している。これは電気ショックや精神的拷問を用いるもので「暴力的人権侵害」そのものである。
昨年国会に提出されるはずだった「LGBT理解増進法案」は、与野党で合意したにもかかわらず、自民党の強硬な反対で提出が見送られた。背後に統一協会の動きがあったことは間違いない。
性教育を攻撃
統一協会は性教育を「過激な性教育は家族制度を破壊する共産主義の思想」と、産経新聞などの右翼メディアを使って、「性解放思想に基づく性器、性交、避妊教育反対運動」を行ってきた。
良心的な教育者たちが行っていたのは、すべての子どもたちが自分のからだと命の主人公となって生きる力を身につけるための「からだ学習」である。統一協会や保守系政治家が扇動しているようなものでは断じてない。
自民党内では統一協会と近いほど、「出世」すると言われる。安倍元首相が彼等を持ち上げて利用していたからだ。岸田首相も同様で、杉田水脈は昨年8月の内閣改造で総務大臣政務官に「出世」した。昨年末にようやく更迭されたが、杉田は女性でありながら女性差別を扇動し組織するだけに止まらず、20年2月の衆院予算委で、国家権力の弾圧と闘う関西地区生コン支部を犯罪集団扱いし、「脅迫で集めた金は何に使われているのか」と警察官僚に詰めよって、さらなる弾圧を引き出そうとした。おぞましい人間的感性だ。まさに労働者の敵である。杉田もまた19年に勝共連合の関連団体で講演していた。
こうした輩が、自民党を極右化させている。自民党が中絶における配偶者同意条件に固執するのもその影響である。強姦されて妊娠した女性が中絶するのに、強姦した相手の署名が要求される。こんな理不尽がまかり通っている。日本はこの点においても国際水準から何周も遅れているのだ。
自民党の国会議員が統一協会との間で「政策協定」である「推薦確認書」を交わしていた。その内容は「憲法を改正し安全保障体制を強化する」「LGBT問題、同性婚合法化に関して慎重に扱う」などに賛同し、関連組織に入会し、セミナーに参加するというもの。外務、デジタルの副大臣が署名していた。国政の中枢で「国民の主権」が歪められている。その闇は深く戦慄すべき事態だ。
怯んではならない
統一協会は自民党とそっくりの改憲案を掲げて、「憲法を改正するためには、国家弱体化をもくろむ左翼勢力と闘わねばならない」と号令をかけている。また彼等をテレビ番組で批判した放送局とコメンテーターのジャーナリストや弁護士たちを相手取って、1億円の損害賠償請求訴訟を起こしている。これにたいして弁護士らが「怯むな報道!」と声明を出した。その通りである。自民党と統一協会の癒着に徹底的にメスを入れ、その一掃のために起ちあがらねばならない。(当間弓子)