岸田首相は、昨年末、杉田水脈総務政務官を更迭した。これで終わりではない。議員辞職に追い込み、岸田の責任を厳しく問わねばならない。
杉田水脈は複数の政党を渡り歩きながら、一貫して「慰安婦」問題攻撃を続けてきた。2013年、衆院議員(日本維新の会)として米・グランデール市に乗り込み、市が建立した「少女像」の撤去を求め、「河野談話は反日」ときめつけて「国会喚問を求める国民運動」を呼びかけた。16年、杉田(落選中)は国連女性差別撤廃委員会開催中のジュネーブで「『慰安婦』の強制連行はなかった」と集会を開いた。こうした活動に目を留めた安倍元首相が杉田を自民党衆院議員として復活させたのだ。
昨年の臨時国会で、「日本に女性差別は存在しない」(14年)という発言を追及された杉田は「命に関わるひどい差別は存在しないという意味だ」と開き直った。こうした杉田を、男性優位の政界は女性の「ネット右翼界の寵児」と重用してきた。
国会やメディアの杉田への追及では、なぜか「慰安婦」問題にかんする言動が取り上げられない。それは杉田発言の核心部分を社会的に容認していることになる。
杉田の更迭が遅れたのは、岸田が思想的に通底しているからだ。15年の「日韓合意」を主導したのは当時外相の岸田だった。岸田は日韓政府間だけで「慰安婦問題に終止符を打った」とし、真相究明、謝罪、補償を求める被害者たちの願いを踏みにじったのだ。
杉田水脈と対決しているのが「国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判(フェミ科研費裁判)」だ。杉田が「慰安婦」問題研究にあたった研究者たちに「研究はねつ造」、「科研費の不正利用」とデマを流したことに4人の女性研究者が名誉毀損などで提訴した。一審は敗訴したが、大阪高裁で控訴審がたたかわれている。
東京高裁は昨年10月、杉田が伊藤詩織さんへの誹謗中傷ツイートに「いいね」を押したことを名誉毀損と判断し、賠償を命じた。大阪高裁はどのような判断を下すのか。杉田的なものを断罪することは、すべての人の人権に関わる。それは戦争へ舵を切った岸田政権とのたたかいだ。控訴審(大阪高裁)の第2回期日は2月2日。詳細は追って。(新田蕗子)