
12月14日、広島地裁で伊方原発運転差止広島裁判(第30回)の本訴口頭弁論が行われた。原告側は、福島原発事故避難者の意見陳述を申請し予定していた。しかし、被告の四国電力側が「原告意見陳述を認めないよう」裁判所に上申書を提出し、広島地裁・大浜須美裁判長が前日12月13日に「原告意見陳述は認めない」と決定した。
本訴期日の当日、広島地裁前に集合した原告、応援団、支援者らは不当極まりない決定への怒りを込め、「福島原発事故被害者の訴えは未来への警告」と大書された大横断幕を掲げ地裁正門へ乗り込み行進。法廷に向かった。
その後、記者会見・報告会が広島弁護士会館で開かれた。弁護団から「四国電力側がいかに今回の意見陳述を恐れていたか」という解説があり、地裁の不当極まりない決定を批判した。
鴨下美和さん(今回の原告意見陳述予定者)が、陳述のために用意した書面要旨を読み上げた。鴨下さんは、過酷な避難生活や誤解と無理解に起因するバッシングの実態を述べた。「避難所や避難住宅では、うちの子に限らず鼻血を出す子が多くいました。見たこともないほどの酷い鼻血。吹くような、吐くような勢いで鼻血が両鼻から、喉を回り口からも出る。綿やティッシュでは追いつかず洗面器やレジ袋で血を受ける子どもたち。30分経っても治まらない」と、否定しがたい放射線被曝被害の実態を明らかにした。パワーポイントで詳細なプレゼンテーションも行なった。
質疑応答を含め「3・11子ども甲状腺がん裁判」原告をはじめとする被害者も、最大の公害被害者であると確認された。
2023年1月25日には、福島原発ひろしま訴訟が、3月8日には伊方本訴第31回口頭弁論が予定される。原発へのミサイル攻撃も現実になっている今、全原発の廃炉、撤去は喫緊の課題だ。(江田 宏)