
村岡到(『フラタニティ』編集長)
共産党は新年早々、1月5日に第7回中央委員会総会を開いた。志位和夫委員長が報告し、「『130%の党』づくり」を決定した。来年1月に開催予定の第29回党大会までに、2020年の第28回党大会時の党勢を30%増やすことを活動の最大の目標にするという。
志位報告によれば、現在の党勢は「1万7000の党支部、約26万の党員、約90万の『赤旗』読者、2500人の地方議員を擁し」ている。志位氏は、「わが党の現状は、いま抜本的な前進に転じなければ未来がなくなる危機に直面している」とまで強調し、「党組織の危機と困難が、3年前の党大会の時点からもさらに進行しています。もっとも分厚い党勢をもつ世代が70代となっています。……『赤旗』の発行と、配達・集金活動の維持が困難に直面しています」と報告した。長大な報告には示されていないが、第28回党大会では、支部は1万8000、党員は27万人余(女性は49%)、「赤旗」読者は100万人、地方議員は2662人、だった。どの数も大きく後退している。4月に予定されている地方選挙については、「前回立候補より229人少なく、当選者数より56人少な」い。
志位氏は「『夜明け前』を『夜明け』に」とか、党の「不屈性」を繰り返して強調しているが、「130%の党づくり」は果たして可能なのか。なお、今年初めからの「赤旗」の減頁(16頁を14頁や12頁に)に触れないこと、「自衛隊=違憲」と一度も触れていないことに注意を喚起しておきたい。
共産党が岸田政権に対決する姿勢と方向には基本的に賛成することが出来るが、共産党が直面している窮状を打開するためには、外に対する主張の強調ではなく、自らに対する反省が不可欠に必要ではないのか。敗戦後77年間も経て、世論調査では共産党支持率は数パーセントに過ぎない。なぜ「正しいこと」を主張しているのに、これほどにまで支持を広げることが出来ないのか。
第28回党大会では「4年にわたる市民と野党の共闘を通じて……『独善的』などのわが党への見方は大きく変わり」と「第二決議」で書いていたが、果たしてそうであろうか。「独善的体質」はなお深く残っているのではないか。一例を上げることが出来る。年末に「赤旗」に「2022 国内の動き」という年表スタイルの大きな紙面があったが、99項目のうち14項目が志位委員長の発言となっている。日本の主要政治動向の14%が志位氏とは、バランス感覚の欠如と評するほかはない。さらに7月には参議院選挙が無い! 8月3日に「参院選を受けた臨時国会」が出て来るだけである。誰もが重大事件と認識している7月8日の安倍晋三・元首相の銃撃も無い。
また、毎月の党勢の報告記事でもプラス面は書くが、マイナス面は隠す。年末に「赤旗」1面に「『赤旗』読者3カ月連続前進」という見出しが付けられていたが、実は党員は何と一昨年9月から連続16カ月も後退している。だが、入党者とか入党申し込み者数は書くが死亡者や離党者の数は無く増減には触れない。誰にしても自分の弱点に触れるのは避けたいだろうが、国政に責任を持とうとする政党たらんとするのであれば、このような姿勢は改めたほうが良いのではないか。