1月24日から25日、近畿各地を「10年に1度」という寒波がおそった。私が勤めている神戸市の海岸沿いは、六甲山側に比べ雪や氷に慣れておらず混乱した。
私の場合、24日夕方までは不安を感じなかったが、最後の訪問介護を終えた午後6時前には天候が急変。どんどん雪が積もり、路面が凍ってきた。バイクに慣れていない新人ヘルパーから「今晩は怖くて仕事に行けない」とSNSで悲鳴が届く。
管理者と相談し、管理者が「車の方が安全だろうから私が行くよ」と一度は決まったが、しばらくすると「うちの前の坂が凍ってスリップしている」と連絡が入る。結局、比較的、雪になれている私が代わりに行くことに。
雪国の郵政労働者のみなさんは、しっかりした装備で雪と氷のなかをバイクで配達している。しかしこの日、私はノーマルタイヤ。平地では両足を路面にこするようにゆっくり進み、下り坂はバイクを押して歩く。問題は上り坂。まだバス通りは路面が凍りきっておらず4輪車の轍のところだけアスファルトがむきだしになっている。そこを伝えば登れる。
そうして利用者さんの所へたどり着き、おむつ交換。あいさつもそこそこ、バス通りに戻る。今度は、道は完全に凍りつきバイクを押して歩く。
転倒や事故はなかったが、自宅に帰り着いたのは夜8時半頃。冷え切った身体に熱燗が滲みた。
翌日は電車・バスが始発から運休。しかし、人の排泄は待ってくれない。昨夜のお宅に私が歩いてオムツ交換に向かうこととなった。朝昼夜、合わせて3回のオムツ交換。朝はどこもかしこも凍結状態。昼すぎになると、陽があたるところはかなり解けている。それでも建物の影は凍結だ。昼過ぎてもバスが動かない。昼も歩き。夕方になってバスが一部復旧した。
夜のバス停で、以前の事業所で働いていた人とばったり。いつもはバイクに乗っているが、聞けば彼女も朝から歩いて現場に行ったと。寒いバス停で待ちながら、少し心が暖かくなった。(小柳太郎/介護ヘルパー)