「子ども手当を所得制限なしに」と茂木・自民党幹事長が言った▼民主党政権が掲げた「所得制限なし」に当時、野党に転落した自民党は口を極め罵倒した。「愚か者!絶対許さん」(丸川参院議員)、「その理念と決別する」(田村・元厚労相)、「子育てを家族から奪い国家化、社会化する。ポル・ポトやスターリン…」(安倍・元首相)。旧統一教会に通じる家族観だろう。自民党「保守」の本音である▼茂木発言に、メディアも「何らか、総括が必要では」と皮肉った。09年の所得制限なしは、「子どもは社会が育てる」意味合いがあった。長年の懸案、高校授業料無償化法とともに、例え一歩でも社会を変えられると思った▼ところが、あれよという間に、新聞・テレビも、政権を選んだ市民の側も「ばら撒き」論に流れた。いったい何を、どう変えたかったのか…▼主権者、変革の主体は、私たち。民主主義は手間もかかる。代議制のいま、否、代議制だからこそ。心して向き合わねば。(根)