
2月10日、ソウル西部地裁は、正義連前理事長で韓国国会議員のユンミヒャン尹美香さんが「詐欺罪」など7件で起訴された裁判で、6件を無罪とする判決を出した。裁判は2年5カ月にわたって審理が行われ、検察側は懲役5年を求刑していた。裁判所は検察側の求刑を退け、「詐欺及び補助金管理法、寄付金法、準詐欺、業務上背任、公衆衛生管理法」の6件についてはすべて無罪とし、残り1件の「横領罪」の一部を認めて1500万ウォン(約155万円)の罰金とした。尹さんと共に起訴され、懲役3年を求刑されたKさんは完全無罪だった。
尹美香さんと正義連、日韓の運動団体は、「一部有罪は残念だが、『事実上の無罪判決』だ。控訴して完全無罪を勝ち取る」と声明を出した。
裁判所が正当な評価
判決は尹さんについて「何よりも、尹美香は去る30年間、人的・物的基盤が劣悪な状況でも、挺対協の活動家として勤務しながら日本軍慰安婦問題の解決、慰安婦ハルモニたちの被害回復等のため寄与してきた」と評価。また、11年から19年まで、尹さんが、自身の講演料など1億ウォン余を正議連と「キムポットン金福童の希望」に寄付していたこと、それが国税庁への申告で裏付けられていること、その額は検察が横領したとする1700万ウォンをはるかに上回っていることなども認定された。
今回の判決で、検察当局による尹美香さんと「慰安婦」運動潰しのねらいを押し返すことができた。20年春から始まった個人と運動に対する激しい攻撃は、「魔女狩り」とも言うべき醜悪なものだった。ハルモニのシェルターで献身的に活動してきた所長ソンヨンミ孫英美さんは、自死に追い込まれた。日本では、大手メディアが何の検証もせずに韓国検察の言い分を垂れ流していたことを忘れることはできない。
たたかいは続く
尹美香さんと運動をよく知る人は、「裁判闘争は困難な状況の中、人生をかけて闘ってきた仲間たちの尊厳を守る闘いだった。同時に共に歩んできた私たちの運動もまた否定されようとした。日本も韓国もバックラッシュが吹きあれる厳しい状況だが、連帯した力で押し返していきましょう」と話している。
「検察政治」といわれるユンソンニョル尹錫悦政権の下で、どのような判決が出るのか心配していたが少しホッとした。たたかいはこれからも続く。
(水島 良)