琉球人の権利

琉球遺骨返還請求訴訟の第3回口頭弁論が大阪高裁で開かれた(2月9日)。たまぐしくつよし玉城毅さん(控訴人)の意見陳述、弁護士による準備書面陳述とともに、京都大学に保管されている遺骨についての現場検証など弁護団、裁判官、被控訴人(京都大学)弁護士との間で「やりとり」があった。
玉城さんは、「遺骨収集が『違法か否か』の根本問題を審議しない一審判決は、司法の使命に背き、一般常識から外れている」「お墓に遺骨があるということは、琉球民族の信仰になくてはならないこと」「研究材料にされるのは耐えられない」と訴え、「遺骨をもとの場所に返し、先住民族の権利を保護し、民主的で思いやりある社会にしてほしい」と結んだ。
準備書面の要旨を陳述した弁護士は、「自由権規約、先住民族権利宣言、国際人権条約に遺骨返還請求権を含む先住民族の権利が保障されている」「国際的に、奪われた遺骨は返還される傾向にあり、京都大学はその流れから外れている」「国連の自由権規約委員会は08年の第5回政府報告書審査で、琉球民族の権利が保護されていないことに懸念を示し、琉球民族を先住民族として認め、その継承文化や伝統的生活様式を保護、保存、促進する措置を講じるよう日本に勧告した」ことを指摘。同趣旨の勧告は、14年8月第6回、22年10月第7回でも出されている。
「自らの祖先の遺骨をどこで、どのように祭祀するかは先住民族たる控訴人らが自ら決める。京都大学が決めることではない。国は琉球民族の自己決定権を保障し、その侵害を救済する義務を負っている。裁判所は、国際社会に恥ずかしくない判断を示されたい」と締めくくった。

各国の映画祭で受賞

報告集会(写真上)では、法廷に出したDVD『フニ骨を還せ、マブイ魂を還せ』の英語版が、インドの映画祭でドキュメンタリー映画賞を受賞したことが紹介され、制作した小山師人さんが次のように話した。「世界中の人に知ってほしいと英語版を作った。インドや韓国の国際映画祭で受賞した。シンガポールの国際映画祭でも受賞したと今日、連絡が入った。受賞理由は、『ドキュメンタリーは真実と正義、人間性にもとづき、隠された問題を明るみに出すもの』とのこと。日本の過去の侵略戦争と植民地支配をなかったことにしようという動きに、違和感を覚える」。        (高崎)