
法治国家の行政と司法はあらかじめ議会の制定した法律によって行われる。日本国憲法が立法府である国会を「国権の最高機関」と定めているのは、主権者「国民」が直接に代表をとおして参加しているのは国会だけだからだ(法学者・鵜飼信成)▼ところで、岸田首相は施政方針演説で政治について「慎重な議論と検討を積み重ね、その上で決断し、その決断について、国会の場に集まった国民の代表が議論をし、最終的に実行に移す」ことだと述べた。国会は、誰かが決断した事項を「議論」するだけでいいということらしい▼岸田氏は閣議決定で何でも決めてしまう昨今の政治を、そのまま正直に述べたまでなのかもしれない。しかし、ここまで露骨に「国会は内閣の追認機関でよい」と言われて、野党の国会議員諸氏は黙っていていいのか。与党が絶対多数だから仕方がないと諦めているのか▼そんな負け犬根性では野党の再生はない。ここは政治の根本が問われているのだから。(謙)