
関西生コン弾圧事件の判決が3月2日と6日、大津地裁と大阪高裁で出された。大津地裁は、湯川裕司関西地区生コン支部委員長に懲役4年の実刑判決。一方、大阪高裁は全員を無罪とする逆転勝利判決だった。
和歌山事件 大阪高裁で逆転無罪
コンプラ活動が「恐喝」
2日、大津地裁で開かれた連帯ユニオン関西地区生コン支部(関生支部)のコンプライアンス活動を「恐喝」とするなどの事件の判決で畑山靖裁判長は、関生支部の湯川裕司委員長に懲役4年の実刑判決、他の5人にも執行猶予付きの有罪判決を下した。
コンプライアンス活動とは、業者が法令どおりに操業しているかを点検し、違反行為があった場合は是正を求めるもの。生コンの品質維持や不当廉売防止のために必要な活動である。こうした正当な活動を畑山裁判長は、「関生支部は1立米200円の政策協力金を得るために、特定の業者をターゲットに建設現場の不備を繰り返し指摘する対策を行っていた」と事実をねじ曲げて「恐喝」に当たるとしたのだ。
産業政策運動の正当性
関生支部は産業政策運動によって、1立米1万円に下落していた生コン価格を1万7千円程度の適正価格に回復させ、協同組合に加盟する生コン業者は大きな利益を得ていた。そこで働く労働者も安定した労働条件を実現きるようになった。判決はその産業政策運動を「犯罪」としたのだ。
また、タイヨー生コンが関生支部に1千万円をカンパした事件の一審では、武建一前委員長は「恐喝行為がなかった」として無罪になっている。ところが金銭受け渡しの現場にいなかった湯川委員長に対して「証拠はないが、カンパをする理由がないから関生支部が要求したと推認できる」として「恐喝」と断定した。「湯川委員長を実刑にする」という結論ありきの不当判決だ。
弁護団は「弁護側の主張をことごとく排斥した検察側のシナリオ通りの判決」「根本的なところを一切見ようとしない不当判決」「どこが違法行為なのか。高裁で無罪判決をかちとろう」と話した。坂田副委員長は「最後まで闘い続ける」と決意を表明した。(蒲牟田)
大阪高裁 法廷に歓声
6日、大阪高裁(和田真裁判長)は、元暴力団員よる嫌がらせに対して関西支部が行った生コン広域協同組合(広域協組)に抗議し、交渉したことが「威力業務妨害・強要未遂」とされた「和歌山事件」で、武谷新吾書記次長など3人に逆転無罪判決を言い渡した。法廷に歓声が上がった。
判決は連帯ユニオンが産業別労働組合として組織されていることを認定。業界団体の広域協組は労使関係の当事者足りうるとした。街宣は若干の行き過ぎもあるが、「憲法28条と労組法1条2項へ適用あるいは類推適用があり、違法性は阻却される」として無罪を言い渡した。裁判所が関生支部の産別労働運動の正当性を認める画期的判決だ。無罪を勝ちとった仲間は「不当判決を覚悟していただけに、本当にうれしい」と涙ながらに話した。滋賀事件の有罪判決をひっくり返す反撃を準備しよう。 (石田)
写真は関西生コン労組つぶしの弾圧を許さない東海の会のウェブサイトから転載しました。