
仕組みはシンプル
非核神戸方式の仕組みは非常にシンプル。外国軍艦が神戸港に入港しようとする場合、在日外国公館から外務省に打診があり、港湾管理者である神戸市長に入港の連絡をする。市長は「核艦船拒否決議」を説明し、非核証明書の提出を当該の在日本外国公館に請求する。
外国公館は非核証明書を外務省に提出し、神戸市長に送付する。証明書を受けた神戸市は入港許可通知とバースの指定を行う。非核証明が提出されない場合は、バースが指定されないから入港できない。実際には外務省を介さずに、神戸市と外国公館でやりとりしている。
条例ではなく行政指導だが、98年にカナダ艦がバース指定されずに海自阪神基地(東灘区)に入港した以外は、すべての艦船が非核証明書を提出している。核保有国であるフランス、インドもそれぞれ提出している。イギリスは数回希望し、提出を求める市側の説明で入港を断念している。朝鮮戦争やベトナム戦争時、年間100隻を超えた米軍艦船は、神戸方式になってから一度も入港していない。非核神戸方式は有効に機能している。

非核方式つぶしの動き
90年代後半から、アメリカの直接的な(日本外務省とも連携しながら)非核神戸方式つぶしが強まった。99年には当時の米大使が神戸市議会の与党会派を呼び出し、「親善ということで入港させたい」と持ちかけた。港湾の労働組合には米領事が訪れ「米企業の進出に神戸方式が障害になる」などと働きかけた。2001年は、神戸港に入れなかった米巡洋艦ヴィンセンスが姫路港に入港した。非核神戸方式ができて以降、県内へ初めての入港だった。
背景には、緊張が高まっていた「朝鮮有事」があった。戦後、米軍は神戸港に専用バース(6突)を持ち、戦略上非常に重要だと熟知していた。港内に川重、三菱のドックがあり、ポーアイには医療施設が完備し条件がそろっている。しかし、非核神戸方式が大きな障害になっている。米日政府の圧力は、そこにあるだろう。
非戦・非核の声を
非核神戸方式の根拠は、港湾法にもとづく港湾管理権が神戸市にあることと、「核艦船入港拒否の市議会決議」だ。有事法では、自治体の首長が協力を拒否した場合、首相の代執行権を認めている。法律上の解釈では、非核神戸方式は無力かもしれない。しかし、平和主義の日本国憲法があり、非核三原則は国是。自治体は、憲法はもちろん港湾法などを含め、住民の安全、暮らしを守らなければならない。
その意義をあらためて考え、地域から市民から「非戦・非核」の声をあげていくことが大切だ。