朝日新聞によれば、袴田さんの再審決定について、この期に及んでなお「特別抗告すべきだった」「真の被害者は袴田さんではなく殺害された味噌会社の専務一家だ。犯人の可能性が最も高い人物について、最後まで争う機会を放棄する選択肢はない」と検察幹部が発言している。彼らは48年に及ぶ死刑確定の人生の中で精神に障害を負いながらも無実を訴えてきた袴田さんの存在を何と思っているのか。「血痕のついた衣服」のねつ造が暴かれても、なお有罪に固執し続けるその精神は何に因るものか! 朝日川柳に「冤罪は迷宮入りより罪深い」とあったが、これが人びとの声だ。検察のエリートたちよ、心して聞け!
また法務・検察関係で「じゃあ誰が犯人なのか。喉元に何か詰まった感じのままだ」と語る者もいるが、それはこっちが聞きたい。ねつ造に奔走する警察、その隠蔽に終始する検察。そんなことだから真犯人を捕まえることができず、逃亡を許してしまったのである。
狭山事件では、誰かが石川さんの自宅の鴨居に万年筆を置いたのだ。袴田事件では、誰かがわざわざ衣服に血をつけて味噌タンクに仕込んだのだ。これらを行った捜査機関は真犯人隠匿の共犯ではないのか。冤罪被害者の会(19年3月2日結成)は、①無実の人を救うためには再審法の改正を、②冤罪をなくすためには冤罪を作り出した警察・検察・裁判官に罰則規定を目標に闘っている。袴田さんに続いて狭山事件の再審を。
     (当間弓子)