
前回に続いて三浦俊一さんに、沖縄の闘いと本土の闘いの関係や今後の運動のあり方について話を聞いた。(インタビューは2月18日、聞き手は本紙編集委員会/高崎)
―沖縄の闘いについて思われることは
沖縄の運動体に、いろいろな論争があることは承知しています。しかし、それは私たちが「どうこう」という問題ではなく、沖縄の人たちの自己決定権の問題です。本土での議論と沖縄の人たちの議論は違う。沖縄の人たちに対しては、歴史性にふまえた配慮が必要です。「ああとか、こうとか」と言うべきではない。それは、私の核心的な思いです。
―本土の視点から物事をとらえるあり方は、沖縄のためにならないと
その通りだと思います。私は、アイデンティティーが重要、大切だと思っています。民族の歴史、文化、そういうもの全部を含めての自己決定権の問題です。
沖縄から遺骨を盗んでくる、遺骨混じりの土砂を埋立に使うなど許されない。辺野古、南西諸島の問題を語るのに、「戦争反対、憲法9条を守れ」でも、問題はないと思います。闘いの内実、私たちが背負うべきものがある。それは、自公政権を倒していく、沖縄の皆さんと連帯していくことです。
沖縄の現場に行くことも必要だし、本土で沖縄の学習をする、多くの人に知らせていくことも大事。「沖縄のことでは一緒にやろう」と、多くの運動が連合することが大事だと思っています。
―辺野古大阪、神戸行動に参加されています
「溶け込んできているな」

現場で見ている限り、いい意味、悪い意味あると思いますが、「溶け込んできているな」と思っています。ビラ配布とかが、「何か、異物」みたいに見られていた時期があるわけです。
今は、「中国が攻めてくる、どうするのか」「やっぱり戦争はダメだよね」という意見が鮮明になり始めている。土曜日の辺野古行動は時代に後押しされ、どんどん重要な意味を持ってきていると思います。
沖縄の運動がもっている客観的な立ち位置と、そこまでがんばってきた主体的な立ち位置があると思うわけです。辺野古新基地建設反対であれば、どういう立場であれ一緒にやることが大事です。あえて言えば、反米愛国でもいいが少し愛国は抑えてもらってね。広いシフトを敷きながら闘っていく。今からが勝負だと思っています。
―沖縄では「沖縄戦を繰り返すな」と、開始されていると思います
沖縄の民意こそ大切
さまざまな議論が起きている、「基地引き取り運動」「沖縄独立論」等、それぞれの意見が活発になるのはいいことだと思っています。どのような結論がでようと、沖縄のみなさんの民意を支持します。
本土における辺野古行動。大阪、神戸、京都をはじめ名古屋、首都圏、全国で取り組まれています。私は、「本土で闘っていく」ことが重要だと思っています。沖縄の人たちの闘いに拍手を送り、背中を押すというようなあり方はダメだと思います。大切なのは、本土の私たちが主体的に何をするのか、自分の立ち位置をはっきりさせることです。
―辺野古大阪、神戸行動などで若者の無関心を感じることは
若者は無関心か
私はそういうことは感じません。理由があります。こちらの側、主体の側も問題があると思っています。それは何か。こういうやり方で若者が集まる環境なのか。
5月21日、沖縄から無名の3人の女性を呼び、集会を開きます。従来の集会のあり方を壊そうと思っています。3人の女性に「好きなように1時間を使ってください。自由に使ってください」と言ってます。参加費は無料にしようとしています。「面白かった、よかった」という人は帰りがけにカンパを出してくださいと。
今、こちらの側が変わっていかなければならないと思います。若者が中心となるような運動をつくってほしい。「俺たちの運動に参加しろ」ではないと思います。もう一つは女性の発信です。この集会では、男性の発言はなしにしようと思っています。
極論のように聞こえるかもしれませんが、同じような話しばかり聞かされるのは嫌です。結果として、何が成功か失敗かわかりませんが、試みたい。韓国の運動にヒントをもらいながらの沖縄集会にしようと思ったわけです。
私は、「慰安婦」問題に10年以上かかわってきました。その継続性と固定層が増え、すごい発信力です。沖縄集会も、もっと発信力を持てるような、魅力のある集会にしていきたいのです。
政治に関心を寄せる人たちが、私たちの動きや発言を注目している時に、その違和感を払拭したい。
―これだけは伝えたいということは…
今ががんばりどころ
私は、5年ぐらいのうちに、若い人たちが運動に入ってくる根拠が社会・経済的にあると思っています。今、貧困、働き方が無茶苦茶になっている。大学を出れば、なんとか暮らしていけた時代から、食えるかどうかわからない時代になった。奨学金が返せるかどうか、返せないような時代です。
この5年くらいに、政治・経済、国際環境も含め、大きく変化すると思っています。今が正念場。そこを見据えて「実験を繰り返していく」ことだと思います。安倍政治以降、解釈改憲を繰り返し、閣議決定が国会決議と同じように使われている。新自由主義とグローバル化が崩壊している。日本の戦争政策、軍拡化に反対する勢力にならなければと思っています。がんばりどころです。
―ありがとうございました