大阪府庁の前で国のカジノ整備計画認可に抗議する市民たち=4月14日、大阪市中央区

4月9日投開票の統一地方選前半戦で大阪府知事、大阪市長ともに大阪維新の会の候補が当選した5日後の14日、政府は、大阪府と大阪市が申請した夢洲IR(カジノ)区域整備計画を認定しました。この報を受けて14日昼、夢洲カジノを止める会をはじめカジノに反対する市民150人が大阪府庁南側に集まり、「カジノはいらない」と抗議の声をあげました。
当選後の会見で吉村知事が「カジノに対して一定の理解を得た」と発言しましたが、維新に投票した人の3割はカジノに反対でした。府民、市民がカジノ建設に合意したわけではありません。そもそも選挙期間中に維新が配ったチラシにはカジノに関する記載が一切ありませんでした。
カジノ建設予定の夢洲の地盤沈下や土壌汚染対策など難問は一つも解決されていません。選挙には敗れましたが、今後もカジノ建設計画を撤回させるまで闘いは続きます。

観光庁評価はギリギリ

夢洲IR(カジノ)区域整備計画の審査は、国交相が設置した外部有識者からなる審査委員会が行いました。14日に発表された評価結果では、1000点満点で657・9点。合格ラインが600点以上のため、ギリギリでの認定となりましたが、審査委員たちは本当にこれで大丈夫だと思ったのでしょうか。
この審査では夢洲の地盤沈下や土壌汚染問題は評価の対象になっていません。また依存症対策は150点の配点で90点。また、「地域との良好な関係構築のための取り組み」では50点の配点中27・1点でした。
国は認可にあたって▽実効性のある依存症防止対策を行い、定期的に検証すること、▽地域との対話の場を設け、良好な関係構築に継続的に努めること、▽予定地で懸念されている、災害時の液状化への対策などが不十分なものとならないよう検討することなどを求めています。つまりこれだけ不十分な点が残されているということです。
計画ではIR全体の来場者数2000万人のうち8割の1600万人がカジノ利用客です。隣接するUSJの年間来場者数約1400万人と比較しても、過大な予想と言わざるをえません。また、カジノの売上げ予想額の半分以上が日本人客です。依存症を拡大し、国内から金を巻き上げるカジノは経済的にも逆効果にしかなりません。カジノにともなう犯罪の増加も避けられません。国はカジノの認可を取消すべきです。  (堀ちえこ)