
G7広島サミット(先進国首脳会議、5月19日~21日)に対して、「岸田首相は軍拡のために被爆地ヒロシマを政治利用するな」「市民の国際連帯で核兵器・原発・軍隊のない東アジアをつくろう」を掲げた「G7広島サミットを問う市民のつどい」が二日間の日程で開催された。
一日目の5月13日は、アステールプラザ(広島市中区)で「民衆と女性の安全保障」「日米の戦争犯罪」「性暴力とジェンダー」「核兵器と原発」「グローバル化と経済安保」「気候危機と生物多様性破壊」などの課題別報告と、各地から報告が行われた(詳報次号)。
戦争への危機感強く
二日目の14日は、平和記念公園(広島市中区)の原爆ドーム前で集会が開かれ、その後市内デモが行われた。集会ではフィリピン元下院議員のウォルデン・ベローさんが発言で「岸田首相がウクライナを訪問したのは、米国のバイデン大統領に指示されたから」と指摘。米国の中国包囲戦略がアジアの緊張を高めている。最近、ベトナムの首相が中国を訪問し、「ベトナムは厳格に中立を守る」と表明したことにふれ、「ベトナム政府は戦争の危機を本当に理解していると思う。懸念されるのは南中国海で全面的な戦争の危機が高まっているのにそれを防止するルールがないことであり、米国がそれを望んでいないことだ。同じ脅威の下にあるフィリピンと日本の人民が連帯して闘うことが非常に大事だ」と訴えた。
韓米日軍事同盟に反対する在日韓国民主統一連合のユンガンオン尹康彦さん。韓国のユンソンニョル尹錫悦大統領の基本姿勢は「朝鮮民主主義人民共和国への対決、米国への追従、日本への協力。しかもすべて無条件」。米国の軍事戦略に組み込まれた韓国は南北対立を激化させており、4月の韓米会談では「拡大抑止の強化」で合意した。また元徴用工問題で被害国が賠償金を肩代わりする対日屈辱外交を進め、韓米日軍事同盟の強化をアピールしている。「南北の軍事衝突は核戦争に発展する可能性がある。朝鮮半島の平和実現は喫緊の課題」と強調した。
沖縄から参加した高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表)は、「2000年沖縄サミットは基地の維持・強化を隠蔽するためのものだった。広島サミットは米国に追従する軍事強化にしかならない。沖縄の経験に踏まえて強く反対する」と発言。
被爆2世の西岡由紀夫さんは「私たちが加害責任を果たさないまま、新しい戦前と言われるような事態になっている。『命尊し、核兵器の廃絶、恒久平和の実現』という被爆者の願いに立ち返るべき」と訴えた。