マイナンバーカード問題が騒がしい。特に健康保険証を廃止してマイナンバーカードに替えるとなって混乱が増している▼当たり前だ。国民皆保険制度はすでに60年以上の歴史と積み重ねがあり、制度の熟成が進んできた。たしかに自己負担割合の改悪など問題点は多々あるが、公益性のある制度として定着している。いわゆる公益的共有財産(コモン)のような性格をもっている▼今、新自由主義がグローバルな規模で、そうした各国の制度を破壊している。人びとが不安に思うのは当然だ。そうした感覚を無視して、安易にマイナンバーカードに代替するというのがそもそも本末転倒だ▼たとえマイナンバーカードを持っていなくても、保険者は、被保険者証を発行しなくてはならないし、そもそもそういう制度が保険制度だ。医療や社会保障制度は、行政だけでなく、市民の要求や行動の積み重ねの中で形成されてきたものだ。マイナンバーカードには、その点の理念がない(あ)