
(左から2人目)=7月5日、大阪市北区
再び戦争が始まる
7月5日、大阪高裁の大法廷を傍聴人が埋め尽くしてこの日の裁判が始まった。今回は原告・金城実さんの意見陳述があった。
金城さんは、遺骨の返還を拒む京都大学の姿勢を弾劾し、琉球の死生観ついて述べた。そして琉球は日本の「植民地」であり、琉球の島々を戦場にした戦争が再び始まろうとしていることを裁判長、弁護団、傍聴者に訴えた。
その後、裁判長と双方の代理人・弁護団のやり取りがあり弁論は終了した。次回8月23日までに準備書面を提出し、第5回弁論で結審することになった。
遺骨の占有は違法
大阪弁護士会館での報告集会では、丹羽雅雄弁護団長から以下の報告があった。
2月9日第3回口頭弁論から4回にわたる進行協議が開かれた。弁護団は京都大学にある遺骨の保管状態の検証が必要である、遺骨の目録を返還せよと追及してきた。京大側は遺骨の占有権があるとか、保管状況の写真を出すといってきた。京都大学に保管している遺骨は26体、男性が15体、女性が11体ある。結論的には写真で出すけれど、絶対に目的以外に使用してはならないし、公開してはならないと、双方で確認した。弁護団は憲法に照らして公開を求めたが、それはならなかった。遺骨は木箱に収められ、写真では一面しか映っていないし全体像はない。今の裁判長は9月に退官する。8月中には判決文を書くことになると思う。
次回弁論の1週間前までに最終準備書面を出すことになる。京都大学は遺骨を占有している。これは事実である。こうした占有行為は違法ではないのか。違法であるならば返還せよ。そして違法行為に対して損害賠償を払えということを裁判所に訴えていく。
また、報告集会で発言した医療従事者は、「金城さんが『人間の死は沖縄では潮が満ちてくるときは苦しみ、潮が引くときに亡くなっていく』と述べられたが、私もそういう現場を見てきた」と話した。
京大で糾弾闘争
崎浜盛喜さん(奈良沖縄連帯委員会・代表)が、次のように報告した。
「5月22日、奈良県会議が呼びかけ京都大学・時計台前で40人で糾弾闘争を行った。京都大学の駒込武先生や学生も参加した。京大の総務課に団体交渉を求め、4人が入り交渉した。申し入れ内容は、①京大総合博物館に保管されている琉球人遺骨の見聞に応じること。②裁判に出廷し、過去から現在における京大の差別的、植民地主義的対応について原告と琉球・沖縄人に謝罪すること。③盗んだ琉球人遺骨を百按司墓(むむじゃなばか)等に返還することを突きつけた。
京大側からは「係争中の裁判のためお答えできない」と総務課から送られてきただけ。5年間、裁判を闘ってきたが、忘れてはならない。われわれは京都大学に侮辱されている。原告団だけでなく琉球、沖縄人全体が侮辱されている。これからも闘い続ける」
次回8月23日、午後2時30分から大阪高裁。傍聴は1時30分集合。(高崎)
