新築したビニールハウスで作業中の市東孝雄さん

2月の市東さんの天神峰農地への強制執行から半年。直後から、市東さんは農業再建に着手し、少し小ぶりになったもののビニールハウス、作業小屋が再建され、以前と変わらない営農活動が続いている。一方、緊急性も必要性もなく「土地明渡し」が強制執行された農地は手つかずのまま放置されている。
毎年の「樫の木まつり」に代わって、反対同盟は7月2日、農楽まつり&現地闘争を開いた。市東さんの農地を守る闘いは第2ステージに移った。

耕作権裁判

第2ステージは、市東さんの南台の農地を守る闘いだ。現在千葉地裁で係争中の「耕作権裁判」である。そこは小作地ではあるが、市東家が親子3代にわたって開拓・耕作してきた農地だ。それを「不法耕作地」などと言いがかりをつけて、NAA(成田空港会社)が明渡しを求めて起こした裁判だが、市東さんが耕作していない土地まで明渡しを求めている。この一点をとってもデタラメな訴訟であることは明らかだ。
さらには、16年間の審理を通して、NAAが証拠として提出している「同意書」や「確認書」が偽造されたものであることが明らかになっている。千葉地裁や東京高裁は事の真偽を確かめるためにNAAに対して、旧地主からの買収の際のやり取りや経緯を示した文書の提出命令を出しているが、NAAは頑なに拒否している。そのためこの問題の攻防が10年近く続いているのだ。
この耕作権裁判が、7月24日に開かれた。証拠・証人隠しを押し通すNAAに対し、弁護団は空港公団用地部職員(NAAの前身)11人の証人申請を行い、NAAが文書偽造に至る経緯、動機、背景を解明するため、改めて千葉地裁に文書提出命令を出すよう求めた。これにたいしてNAA代理人は「訴訟遅延目的だ」と立証責任を果していないことを棚に上げて噛みついた。裁判の期間が長期に及んでいる責任はすべてNAAにある。前任裁判長が進めようとした早期審理終結の動きを許してはならない。

9月3日、大阪で集会

9月3日(日)午後2時よりエル・おおさか(大阪市中央区)で三里塚支援集会が開かれる。反対同盟の萩原富夫さん、反対同盟弁護団の一瀬敬一郎弁護士を招いて、現地の状況や裁判闘争について聞く。10月8日(日)には成田市赤坂公園で全国集会が開催される(正午開会)。多くの参加を呼びかける。(野里豊)