中央最低賃金審議会は7月28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で4・2%引き上げて、1002円とする目安をまとめた。これを参考に各都道府県が金額を決めて、秋に改定することになるが、諸外国と比較するとあまりにも低すぎる。現行の最低賃金制度の抜本的な見直しが必要だ。

最低賃金(時給)とは使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額だ。現行で最も高いのは東京都の1072円。28日に示された目安どおりに引き上げたとしても1113円。表(上)に昨年8月時点の先進諸国の最低賃金を示したが、その差は歴然としている。物価上昇率の差や円安の影響を勘案したとしても、日本の最低賃金はあまりにも低すぎる。国連社会権規約委員会は13年5月に、日本の最低賃金は「最低生存水準を下回っており、先進国の中で最悪の水準である」という見解を発表した。生存に必要な最低レベル以下の状態というのだ。それから10年、状況はほとんど改善していない。

貧弱な対策

日本の賃金水準を引き上げるためには、全労働者の7割が就労している中小企業への支援策を強化しなければならない。ところが、中小企業対策費の当初予算は年々減少。23年度は1704億円で、22年度から9億円減額している。
中小企業の事業内最低賃金の引き上げを促す制度として「業務改善助成金」があるが、20年度の交付額はわずか8・2億円で、中小企業対策費の0・46%にすぎなかった。その理由は、最新の機械・設備の導入などが助成の条件になっているから。設備更新を行うだけの体力のある企業は少ない。コロナ禍で一部条件が緩和されたが、このような貧弱な対策で、中小企業の賃金環境が改善するわけがない。
第一に着手すべきは、大企業による「下請け叩き」(支払遅延・減額・返品・買い叩きなど)を厳しく規制しなければならない。そのためには現行法の改正が必要だ。第二に、社会保険料の軽減措置をとることだ。中小企業の多くは赤字経営となっているため、法人税軽減よりも効果が大きい。第三に今年10月1日のインボイス制度の導入を中止することだ。この制度は売上高が1000万円以下の消費税免税業者は、負担増、仕事減など大きなダメージを受ける。

全国一律に転換を

そして最も重要なことは、地域間格差の拡大要因となっている地域別最賃を全国一律に転換することだ。じつは世界で地域別を導入しているのは日本を含めて4カ国だけだ。地域社会を経済面で支えているのは労働者のほとんどが就労している地域の中小企業と個人事業主だ。地域の活性化・自立化と最低賃金の大幅引き上げとを表裏一体で取り組む必要がある。