これを書いている8月半ば、本土には台風7号が接近している。沖縄では台風6号が大きな被害をもたらした。8月1日には930hPa(ヘクトパスカル)。同じ台風がV字ターンして再度沖縄に来襲したが、その時は960hPaくらい。
私は7月29、30日と神戸、宝塚、西宮で辺野古について話をさせてもらっており、航空券を8月1日にとっていた。ところが、その日は沖縄を台風が直撃という予報、8月5日に延ばしたが、5日もだめとわかった。4日、空港カウンターに行くと偶然4日に空席があり、那覇空港上空が悪ければ引返すという条件のもとフライトでき、運よく沖縄に帰ってきた。その日の夕方から風雨が強くなり、風の音で眠りを何度か中断された。

辺野古工事も止まる

読谷では8月1日から停電がまる2日と翌日の朝まで続いた。冷蔵庫が効かなくなり煮炊きに苦労し、スマホの充電もままならなかったとあとで聞いた。
死者、ケガ人も出た台風は農業への被害も大きく、わが家に有機農法などで作った作物を届けてくれる方々の畑は全滅との報告を受けた。スーパーに行っても、8月12日の夕方になっても、野菜の棚にはほとんど何も無い状況だった。沖縄は離島だということを、あらためて認識した。
わが家の台風一過の後片付けは、8月8日から始め10日まで3日かかった。大変な目にあったわけだけど、その期間、辺野古の工事もほぼ止まり、埋め立て護岸も一部崩れた。これだけが良かったことというのは、なんとも皮肉だ。
沖縄本島に8月初めに、こんな大きな台風がやって来たことに驚く。大型台風は、秋になってからというのが通常の認識であろう。この台風6号、7号発生の期間、ハワイの大火、中国北部の大洪水、スペインの大火災などのニュースが台風情報とともに流れてきた。「原因は地球温暖化」と及び腰で語るマスコミもある。

地球の「沸騰化」?

2023年7月の世界の平均気温は、過去12万年で「最も暑い1カ月」と指摘した専門家もいるそうだ。この事態を受け、国連のグテーレス事務総長は7月27日、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代にある」と言った。地球沸騰化とはすごい表現だが、現実のような気がする。では、どうすればいいの?
「世界の平均気温上昇を、産業革命以前に比べ2度より低く保ち、1・5度に抑える努力をする」と各国がパリ協定を結んでいる。しかし、気候学者の中には、「もう1・5度を超えている可能性もある」と言う。つまり臨界点、取り返しがつかない点に達したか、それを超えているかもしれない。もっと騒ぎ立ててもいい事態である。思い切ったことをしなければ、地球の温暖化を止められないのではないか。

軍事費より温暖化対策

私たちの立ち位置から言えることは、「軍事費をそのまま温暖化対策に使え」と訴えることだ。世界の軍事情勢を分析しているスウェーデンのストックホルム国際平和研究所は7月24日、「2022年の世界全体の軍事費が、前の年と比べ3・7%増え2兆2400億ドル、日本円にしておよそ300兆円に達し、1988年以降、最も高くなった」と発表した。
日本の防衛費はどうか。今年(23年度)は6兆8219億円。昨年より1兆4000億円余り多く、24年度向けの予算要求は7兆円台を目指すそうだ。兵器作りは大変な量のCO2を排出し、戦争はCO2を無限に放出し、環境を破壊する行為だ。「こんな罪作りなお金を温暖化対策に使え」と、オール世界で訴えることが必要ではないか。台風6号に、あらためてそんなことを考えさせられた。(富樫 守)