
米軍岩国基地の地元から、「住民投票を力にする会」の松田一志さんを招いて、「2023岩国行動スタート集会」が7月28日、大阪市内で開かれた。(主催、岩国労働者交流集会実行委、写真上)。松田さんは、昨年12月3日に発生した米軍岩国基地所属の海兵隊員による自動車窃盗・交通事故・器物損壊の事件に関して、驚くべき事実を報告した。
市民の怒りで有罪に
ドミニク・グリフィン・ヤングレンという21歳の海兵隊員は、12月3日朝6時頃に、岩国市の自動車販売店ウエストオートに侵入。販売用の車両を盗んで運転中に信号待ちで停車していた車に衝突して、乗車中の人にけがを負わせ、そのまま米軍基地に逃げ込んだ。
犯人の名前も何もわからないままうやむやになるところを、ウエストオートの経営者である原田さんを先頭に、1月11日から署名運動を開始。2月には大集会をおこない、署名は1万3千筆を超えた。この市民の怒りを目の当たりにした岩国警察署は容疑者を送検。起訴され山口地裁で裁判になって、初めて犯人の名前や所属が判明した。6月16日、山口地裁岩国支部が懲役2年6月、執行猶予4年の判決を出した。
損害賠償を追求
しかし執行猶予がついているので、米国に帰国されたらそれで終わり。現在、損害賠償をどのように請求するのかの検討をしているとのことだった。裁判では、被告は「酒を飲んでいて覚えてない」の一点張りだったが、防犯ビデオでは、被告は侵入した事務所内で、最も高級なホンダ車のキーを選んで盗み出している様子が映っていた。計画的で冷静な犯行であることは明らかだ。ただし損害賠償が認められても、その支払いは日本政府が行うため、本人には何の痛みもない。
本気の闘いが必要
前沖縄県知事の故翁長雄志氏が語っていたように、「国会に優先する日米合同委員会と、憲法に優先する日米地位協定」という現実を変えない限り、こうした事件は繰り返される。「日米地位協定の改定に向けて、日本の人民は本気で闘わないと話にならない」と松田さんは強く訴えた。(多賀信介)
