
明石の夏の平和イベント、ピースフェスタ明石。今年で19回目。7月28日から8月6日にかけて明石市内で開催された。
8月6日は絵本作家の田島征彦さんの講演会が開かれた。田島さんは40年間通い続けた沖縄についての集大成と位置付けた絵本『なきむしせいとく』が、講談社絵本賞を受賞したばかり。「平和・いのち・子ども、絵本で何ができるか」についての語りと映像に、参加者は引き込まれた。
平和、子ども、いのち
古典落語を元にした『じごくのそうべえ』、この絵本を読んだ自閉症の子どもは「トザイ、トーザイ」と、はじめて言葉を口にした。それから自閉症の子らや、特別支援校などと縁ができ、発達障害の子どものことを絵本にした『あつおの冒険』が吉村敬子さんとの共同制作でできた。
『ふしぎなともだち』、これもなかなか絵本にできなかった。身近に障がい者がいなかったから。主人公「カーくん」の担任の先生から、古い交換日誌を見せてもらっても、なかなか知りたい内容は書かれていない。カーくんと小中学校でいっしょだった子から、特別扱いしない普通の関係を聞くことができて、この絵本ができた。
子どもを対象にした絵本を作るのではなくて、絵本は自分が納得できるものであり、自分の表現として絵本がある。本の世界へのデビューが同期だった灰谷健次郎さんとも交流し、沖縄とつながり、いっしょに絵本を作る話もあった。彼が住んでいた淡路島の家にいま住んでいる。
「沖縄だけの問題か」
『なきむしせいとく』は40年通った沖縄を題材にし、自分の集大成のつもりだったが、なかなか完成できなかった。大阪の堺で空襲にあい、もし自分が沖縄にいたらどうだっただろうかというのが出発点だったが、起承転結、最後が浮かばない。出版ぎりぎりに、戦後10年たった高校生を登場させ、最終版を持って沖縄に行った。佐喜眞美術館の館長夫妻と学芸員、3人の前で読んだ。
すると若い学芸員から、「最後が気に入りません。変えてください」と言われた。「ぼくたちの手で(基地をなくす)…」の、「ぼくたちは、沖縄の人たちだけなんですか」。それは衝撃でした。日本の国民は、沖縄の人たちだけでやってくれと思っていないか。本ができても、解決していない。(江戸信夫)
