
岸田政権の軍拡に、市民、地域からは異議申し立ての声が上がる。「敵基地攻撃能力は本当に必要か~安保3文書を読み解く」学習会が、約80人が集まって開かれた(9月16日、芦屋「九条の会」主催、芦屋市内、写真上)。講師は弁護士の羽柴修さん(兵庫県弁護士9条の会)。
安倍政権は重要方針や政策を国会、議会で審議することなく、「閣議決定」で突破する手法を通常化した。岸田政権もそれに倣い、国や国民の安全にかかわる重大事案である「安全保障戦略」「防衛戦略」「防衛力整備」という、「安保3文書」を強引に閣議決定した。防衛費(軍事費)は向こう5年間で総額43兆円(世界3位の軍事力保有に)という大軍拡が始まろうとしている。
3文書では、(1)我が国を取り巻く安全保障環境の劇的変化、(2)戦後の安全保障戦略の大転換、(3)防衛力(体制)の抜本的強化を打ち出した。ポイント①、「敵基地攻撃能力」で日本を守れるか。否、敵基地攻撃能力保有は東アジアの緊張関係を高め、日本が戦争をする危険性を飛躍的に高める。ポイント②、軍事費の大幅増額。24年概算要求114兆円のうち、防衛費は7・7兆円(これまで防衛費・文科省予算は、ほぼ同額の5兆円)。ポイント③、軍事国家は基本的人権を尊重しない。増税し、文教・福祉は削減する。ポイント④、国益とは何か。主権と独立。国民の生命・身体・財産、文化を守る。
憲法を掲げ、人に寄り添い、基本的人権と社会正義を守る活動に尽力してきた羽柴さんの、分かりやすい講演だった。レジュメに書かれた詩句が印象に残った。「マッチ擦る つかのま 海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや」(寺山修司)、「戦争が廊下の奥に立ってゐた」(渡辺白泉)、「じわじわと、それから一気に」(『日はまた昇る』ヘミングウェイ)。(石塚 健)
