
大阪府・市は9月28日、夢洲に予定しているカジノ施設について、事業者と実施協定を締結した。この日、吉村知事は「大阪・関西の成長の起爆剤、経済成長のエンジンになる」と強調したが、この主張には根拠がない。
カジノ施設の収益にかんする説明では、「納付金収入が年間740億円、入場料収入が320億円」とされている。阪南大学の桜田照雄教授によれば、740億円の納付金を納付するためには4933億円の粗利益が必要だが、その根拠が明らかになっていないという。カジノを地域住民が受け入れるための判断根拠が示されていないのである。
カジノをめぐっては「起爆剤、エンジン」などの景気のいい言葉だけが踊っているが、具体性がない。カジノは統合型リゾート施設(IR)の「一部」ではない。IRの収益の8割はカジノが占めている。IRはカジノの付属施設でしかない。
そのカジノの来場者の7割を占めるのは日本人だと想定されている。日本人がカジノでお金を使っても、他で使うはずだったお金が減るだけで、「経済効果」は相殺される。カジノで勝ったとしてもそのお金はまたカジノの賭金になるだけだ。
一方、ギャンブル依存症や公費負担など見過ごせない問題がたくさんある。公費負担にかんしていえば、当初はゼロと言っていたのが、すでに市は788億の負担を決定している。建設費が高騰する中でさらなる負担増は不可避だ。そもそもカジノ事業者が撤退を決めたらどうするつもりなのか。「身を切る改革」が聞いてあきれる。カジノ計画は撤回すべきだ。
