
大型タンク保管
代替案のもう一つは、大型タンク保管。これは石油備蓄などに使われてきた実績があり堅固さにも信頼性がある。
しかし、東電はモルタル固化や大型タンク保管をまともに検討せず、「他案の10分の1の34億円で済む最も安価な方法」として海洋投棄を「選択」したのだ。ところがその結果はどうだっただろうか。海洋投棄のための海底トンネル建設に430億円、「風評被害対策」に300億円、漁業従事者対策に500億円と、現時点で総額1200億円を超えているという有様である。しかも今後どれだけ費用が膨らむか誰にも分からない。
そもそも「これ以上汚染水を発生させない」ための対策が何よりも第一に必要ではないのか。つまり、原発事故現場に地下水を流入させないための根本的な対策を、政府や東電はどう考えているのかということだ。
一昨年の10月、福島大学の柴崎直明教授(写真左)らの研究グループは、現在の凍土壁が、水を通しやすい地層の下限まで壁が届いていないため、地下にセメントを注入して、さらに深い35~50メートルに達する全長3・7キロの「広域遮水壁」の設置を提案していた。また原子力規制委員会も「凍土壁をやめて鋼板やコンクリート壁にすべき」と指摘していた。東電はそれを無視し続け、今年2月になってようやく回答したが、それは「5年先に検討」という不真面目きわまるものだった。東電は1日あたり100トン前後の汚染水が増加し続けていることに危機感はないのだろうか。(想田ひろこ)
