大阪高裁

琉球遺骨返還請求訴訟の控訴審の判決が大阪高裁で言い渡された(9月22日、1面に記事)。判決を受けて行われた報告集会での主な発言を紹介します(編集部)。

先住民族と認定
龍谷大教授 松島泰勝さん

京大は勝利したと言えない。6年間の裁判で、私たちは繰り返し、京大は法的根拠もなく遺骨を盗骨し、保管していると訴えてきた。当事者や遺族と話し合いもしていない。この「遺骨研究」を発表する場もない以上、遺骨を返すべきだ。
判決文をみんなで検討したが、歴史的な判決であると実感した。アイヌ民族も裁判をとおし先住民族であると認定され、次に進めていく事ができた。今日の判決で、沖縄地方の先住民族である琉球民族に属する控訴人と事実認定した。画期的なことだ。しかも「遺骨はふるさとに返すべき」と書いた。しかし、日本の法体系の中では棄却となったが、最高裁で争う。 
この裁判で、琉球民族の自己決定権を求める運動や、辺野古や自衛隊の基地建設反対の闘いの法的根拠を得たと思う。

差別に怒らなければ
奈良沖縄県人会 崎浜盛喜さん

これは琉球人が京都大学を訴えた裁判だ。京大は遺骨を盗んだ犯罪人。遺骨を見せろ、拝ませろ、返せと訴えた。京大は法廷に一回も出てこなかった。腹が立ってしかたがない。その姿が、琉球に対する植民地主義そのものだ。議論することなく無視するという姿勢が許せない。劣等民族、土人と、琉球人が差別され、蔑ろにされ、知らんふりにされている。関西の沖縄人はどうか。琉球人といえば昔のように差別されるのではないか。それが私たちの大きな問題だ。琉球人、琉球民族に誇りを持とう、人間としての尊厳を持とうと、私たち自身が覚醒して、動かなくては。差別されていることに怒らなければならない。それが、裁判闘争の核心的な問題だ。今日の高裁判決を聞き、一つ、二つ前進したのではないかと思う。
日本の植民地主義の清算と琉球人の尊厳の回復をめざし、ウチナンチュとヤマトンチュの連帯をかけて取り組んできた。共に闘っていきたい。

遺骨はモノではない
大阪大学名誉教授 池田光穂さん
高裁判決の付言は大きな意味を持っていると思う。私は大阪大学、帝大という訴えられる側の人間だ。遺骨、人骨が研究されていることを知らなかった自分の無知を恥じている。先住民族を対象として文化人類学とか社会科学などの名目で国からお金をもらって研究をしている日本のアカデミックの人たちがどういう形で先住民族の運動に関わってきたのかというグループに参加している。付言の中で、「遺骨はモノではない、返されるべきだ」と明確に述べている。私たちにとって道徳の言葉、倫理の言葉、つまり人間としてこうあるべきだと、明確に述べられている。その言葉に感銘を受けた。私自身にたいして「何か、やれ」というメッセージだと受けとめた。不当判決ではあるが、ぜひ判決文の全文を読んでほしい。