富樫守さん=2023年7月29日撮影

沖縄における軍備は着々と進んでいます。日米合同軍事訓練実施2日前の10月12日、沖縄市のごや胡屋十字路で集会が行われました。復帰前、ここで米軍の圧政に怒った住民が米軍人の車両を燃やした暴動が起きました。
主催はオール沖縄ではなく、市民集会実行委員会。午後4時半から5時15分、時間的には仕事中など参加者は限定されましたが、1000人余が集まりました。
この日は辺野古ゲート前も大勢が参加しました。玉城デニー知事が国の代執行裁判訴訟に、国(防衛局)の設計変更(辺野古埋め立て)を不承認とする立場で応訴するという報道が後押しました。代執行とは、埋め立てを県に代わって国が「執行する」ことです。代執行でもかまわない。知事が辺野古埋め立て反対の筋を通してくれることの方が、私たちには力強いです。

代執行は
   地方自治の侵害

県民投票で有権者の72%強が埋め立てに反対し、それを背景に知事が反対を言っています。国の代執行は、地方自治の侵害です。沖縄県だけでなく、全都道府県に及ぶ問題となってきています。辺野古の問題を全国で考える、よい機会です。
9月26日から県議会が開かれました。「国の勧告に従わなかった」知事は、自公の県会議員から大変な非難を浴びせられました。議会傍聴を呼びかけた人によると、「批判を聞く知事の目つきが悪い」とまで言われました。自民党幹事長のしまぶくろだい島袋大県議は、「行政のトップである知事が最高裁判決を受け入れないのは、我が国の法律を全否定することだ。影響は計り知れない。知事は行政の長としてではなく、政治家として自らの保身を最優先した」(毎日新聞)と声を張り上げました。

県幹部、職員も苦慮

自公議員たちに加え、県庁幹部職員も承認に傾きました。ある県関係者は、代執行訴訟について「最高裁判決のどこに納得ができないかではなく、なぜ従わないのかが問われる。論理構成は難しい」。別の職員は「承認しないと明言すれば、県の担う行政全般に影響が生じる。県民に指導する場合など『県庁も法律を守ってはいないのに』と言われることもあるだろう」と、「承認することによって、法令順守が求められる行政としての正当性を確保する必要がある」と言う。
さらに「玉城知事の懸念は、損害請求のリスクがある」とも吹聴されました。「私に責任が来るのはいいが、職員には責任がこないように守りたい」と気にしていたとのこと…。国の勧告に、「期限までに承認することは困難」と、まずやり過ごした知事に対し、国は指示を出し「回答期限を10月4日」とした。その間の県庁の動向が漏れ伝わってきています。
―県議会の合間をぬって幹部は協議を続けた。指示に対する回答期限まで後4日と迫った9月30日の午後2時ごろ。知事はいままで訴訟に関わってきた弁護士2人に尋ねた。これまで共にたたかい、知事が信頼を寄せてきた弁護士から出された答えは、「これ以上対応できる策はありません」だった。 
知事は県幹部に、「私は承認するしかないのか」とつぶやく。事務方は、承認を前提として文章も作成した。その日、9月30日夕方、知事の後援会長が承認に傾いていた玉城知事を説得した。さらに回答期限まで3日と迫った翌10月1日。県出身の野党国会議員らが、知事に電話を入れた。その後、知事の選択肢から承認の文字が消えていた。それを知った県幹部は、「行政上の懸念を払拭するよう判断の経緯を県職員に説明するべきだ」と知事側近に談判した。―
国交大臣の指示をめぐって、県の舞台裏はこのようなものでした(NHK政治マガジン、沖縄タイムス)。

いばらの道は続く

知事が国の指示に対しても承認しなかったのは、最高裁の判決の前後から行われた県庁広場での激励集会や激励ハガキなどが、援護になったと思います。また、行政法の学者103名の抗議声明も知事の判断に影響を与えたでしょう。
その時、知事は承認ではなく「期限内の承認は困難」と回答しました。一安心ですが、それでも「期限内の」という言葉が気にかかります。その不安を吹っ飛ばすのが12日の「承認せず」の報道です。これで私たちは元気づけられました。
でも、これで終わりません。国は即刻、代執行の訴訟に。代執行裁判は30日にデニー知事が初弁論に立ちます。裁判に負けたら、また「承認、不承認」の問題を突きつけられます。いばらの道は続きます。(富樫 守)