
10月7日、ガザ地区からの攻撃によって始まった戦争で、イスラエルは17日、ガザ北部の病院を攻撃し、500人が死亡した。また国連安保理では19日、「一時停戦決議案」に米が拒否権を行使して否決した。イスラエル軍のガザへの地上侵攻を断じて許してはならない。元・日本赤軍の重信房子さんが緊迫するパレスチナ情勢について語った。(10月15日の京都市内の集会での発言)
アルアクサ洪水作戦
今回の攻撃をハマスは「アルアクサの洪水作戦」と呼んでいる。この作戦には、ガザの解放勢力が一丸となって参加している。なぜこの様な大規模な作戦に踏み切ったのか。それは、パレスチナの生存のための闘争が限界に達するほどの民族浄化政策が続いたからだ。アラブ民衆に決起を呼びかけ、民衆の連帯でイスラエル、アラブ政府、国際社会の現状を変えようとしている。
昨年12月末に登場したイスラエルのネタニヤフ政権は、「イスラエル史上最も過激な人種差別主義の右派政権」と呼ばれ、パレスチナ人への極端な民族浄化政策を続けてきた。財務相のスモトリッチは、3月にパリで開かれた会合で「パレスチナ人など存在しない。パレスチナ人の言語、通貨、歴史や文化もない。何もない」と発言した。こうした閣僚たちがユダヤ人入植者を扇動し、人種差別、弾圧、殺害が深刻化していたのだ。7月にはヨルダン川西岸地区のジェニーンの難民キャンプに攻撃用ヘリ・アパッチを投入し、「この20年間で最大規模」といわれる攻撃を2日間にわたって行っていた。この他にも、パレスチナ人の村を襲撃して破壊したり、集合住宅を爆破したりと激しい民族浄化が繰り返され、すでに260人が殺されていた。
イスラエルの戦争犯罪
ネタニヤフは9月の国連総会で「新しい中東」と称して、パレスチナ自治区やガザ、シリアのゴラン高原もすべて自国領とする「大イスラエル地図」を堂々と掲げた。イスラエルによる「パレスチナ問題の解決」とはその「抹殺」のことだ。それをサウジとの平和条約の締結で最終的に実現するという宣言だった。
このようにおごり高ぶっていたネタニヤフ政権は、7日の大規模攻撃に周章狼狽し、ガザを完全封鎖した。水、食糧、電力などの供給が完全に停止した。この時、イスラエルのガラント国防相はパレスチナ人を「ヒト型動物」と呼んだ。これはナチスがユダヤ人に使った言葉だ。ガザ地区は種子島ほどの広さの土地に230万人が生活する「天井のない牢獄」だ。そこでこれから行う大虐殺を正当化するための発言である。
これはガザの「人道危機」ではない。イスラエルのパレスチナ人に対する「戦争犯罪」である。占領者はイスラエルであり、パレスチナ人は被占領者、被害者である。占領者が裁かれ、占領を終らせるべきなのだ。そのために世界の人びとが今こそ力を合わせなければならない。
