狭山事件の再審へ!キャラバンスタート集会=9日、大阪市内

狭山事件の再審を!キャラバンスタート集会が開かれた(10月9日、大阪市内)。
山中秀俊・釜ヶ崎日雇労働組合委員長があいさつ、横田雄一さん(狭山事件再審弁護団)のリモート講演、夜間中学統廃合に反対する教師、夜間中学同窓会からの訴え、市民の会からの報告があった。

みんなのキャラバン

山中さんは、「狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西が来年2月23日に開かれる。再審に向け何としても事実調べを実現させたい」と呼びかけた。
横田弁護士は、「新証拠」について次のように述べた。「発見された万年筆には、被害者が使っていたものとは違うインクが入っていた。被害者の使っていたインクにはクロムが含まれていたが、発見された万年筆にはなかったことを、下山進・吉備国際大学名誉教授が警察のインク検査を調べ直し明らかにした。裁判所に独自の鑑定をしてほしいと要請しているが、今の大野勝則裁判長の退官時期を迎え、難しくなっている」

無関心がえん罪を生む

「冤罪・狭山事件の場合、石川一雄さんの両親の富造さん、リイさんが無罪を確信していることが大きい。『生涯弁護人』を書いた弘中惇一郎さんは、『弁護の依頼を受けた時、家族が事件についてどう思っているかで判断します』と述べている。そのとおりだ。狭山事件は国策捜査だった。その年3月に吉展ちゃん事件があり、半月後に誘拐された女子高校生が殺害される。柏村警察庁長官が辞任に追い込まれた。『何としても犯人逮捕』というなかで、部落差別にもとづく権力犯罪として強行された」
「第3次再審請求で、門野博裁判長は証拠開示を勧告した。出された録音テープは重要だった。もっと早く出ていれば再審への扉が開けたと思う。石川さんの『自白』は、調書と整合性がとれない。次々と変えられていく。被害者のカバンと教科書が別々に捨てられていることを知らなかった。石川さんも、録音テープが無罪を明らかにするといっている」
横田さんは、最後に斎藤鑑定人の言葉を紹介し、「冤罪を生み出すものは国民の無関心である。冤罪は、捜査機関、裁判所だけが悪いものではない。原因究明に無関心な世論にもあると思う。国民の監視が冤罪防止になる」とまとめた。

夜間中を廃止させない

第2部、「学ぶことは生きること、夜間中学校統廃合に抗して」と、夜間中学の教師、同窓会から3人が話した。
「夜間中学とは何か、石川さんが学べなかったように、今も学齢期に学校に行けなかった人がいる。国勢調査では80万人とわかった。字を読めないためロボットのように権力者に使われてきた事例がたくさんある。夜間中学は、『あってはならない。なくてはならない』学校と言われる。大阪では天王寺、文の里の2校が廃校にされようとしている」
「夜間中で学び、多くの生徒さんが『明るくなった。自信を取り戻せた』と言う。辛い思いをして生きてきた。字が読めないが故に、石川さんのように『就職できない、仕事を首になる』経験をしてきている。とても大事な学校。それが大阪の維新政治により廃校に追い込まれている。特例校をつくり、2校を統廃合しようとしている。そうなれば多くの生徒が通えなくなる。今、全国では夜間中が増えている。不登校で学校に行けなかった人、日本で暮らす外国人などにも必要な学校。大阪市だけが逆行している。みなさん、応援してください」
同窓会の人は、「家庭が崩壊し、8歳のときから他人の家に預けられた。学校には行かせてもらえなかった。いつもみじめで、心に大きな穴が空いていた。46歳の時に夜間中を知り入学した。字が読めず、いつも人の後ろに隠れていた。字が読め、書けることはこんなに自信をもって生きていけるのかと。夜間中を廃止することは許せない。同窓会で1万枚のチラシをつくり、入学を呼びかけ、署名を集めている」
夜間中学の元教師は、「在日の生徒で80歳を過ぎた人から『習った字は私の宝や、誰からも盗られへん』と。別の人は、『学校で勉強すればするほど目の前が明るくなった』と話した。廃校はとんでもない。許せない」

狭山市民の集い

「狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会」から、第8回市民のつどい、キャラバン日程が提起された。「つどい」は、24年2月23日、大阪市西成区民センター。石川一雄さん、石川早智子さんのビデオメッセージ。講演は黒川みどりさん(『被差別に生まれて―石川一雄が語る狭山事件』著者、静岡大学教授)。袴田ひで子さんの話ほか。
冤罪狭山事件の再審をめざし、みんなの行動が大切と確認した集いだった。(高崎)