
10月3日付の『朝日新聞デジタル』に、新宿の公園近くの路上に多数の若い女性たちが立ち、それを上回る男たちが集まっているという記事があった。昔でいう「街娼」らしいが、警視庁は9月に女性計80人を売春防止法違反容疑で摘発。9月に入って同法容疑で35人の女性を現行犯逮捕した。去年と比べても、なぜ「街娼」が増えているかの経済的かつ社会的分析は必要だが、それ以前に腹立たしいのは、摘発や逮捕されるのがすべて女性で、男性の買春行為については一人も、まさに一人も捕まっていない! 売防法は女性が未成年でなければ、買春が罰せられることはまずない。こんな差別がまかり通っているのが日本なのである。この領域でもお隣の韓国と比べて、ひどく遅れている。韓国では女性たちの闘いでもって、男性の買春への取り締まりが厳しくなってきている。
フランスでは、買春した男性には厳罰が科せられる。罰金20万~51万円(1ユーロ=146円で換算)、さらに組織的にあっせんした場合は逮捕され、20年の刑期と4億円の罰金。そして何よりも強調したいのは、売春の女性は男性社会の犠牲者であり、守るべき存在として大事に扱われる。ネット上や夜の街を巡回して売春女性を見つけると、話しかけやトラウマのケア、未成年者の場合には児童相談所が保護する。つまり女性に対する支援制度がしっかりしている。
日本の場合、不安定な生活や性暴力、家族との断絶を経験している女性たちが容易に性産業に吸い込まれていく。つまり日本の法や福祉制度がどれだけ男性に甘く、女性に過酷かということだ。
今夏、死産した乳児の遺体を庭に埋めたとして、風俗店で働いていた女性が有罪判決を受けたが、妊娠は女性だけではできない。このような事件が後を絶たないが、一度として男性の責任が追及されたことはあるのだろうか! (当間弓子)
