
少し前になりますが10月4日、ベテランズ・フォー・ピース(注1)のピース・スピーキング・ツアーに参加しました。
1日目はパット・エルダーさん、小泉昭夫さんによるPFAS(ピーファス、注2)についての講演会でした(アバンティ響都ホール)。PFASは何千年も分解されず1万種類以上もある有機フッ素化合物です。マンハッタン計画で1945年に原爆が開発された時期に、この悪魔の白い粉は、約500の米軍基地で泡消火訓練に大量に使用され計り知れない被害をもたらしました。
消防士たちはぼうこう膀胱がんや精巣がんに冒されました。泡の発がん物質は、地下水や地表水に浸透し、飲料水だけでなく土地を汚染します。野菜などの農産物、魚や海藻類にも濃縮され、食べられない汚染をもたらします。
30年前に閉鎖されたミシガン州のウルツマス空軍基地の周辺では、今でも魚や野生動物や野草は食べることができません。これらは日本にある米軍基地でも使われ、沖縄の宜野湾市や南城市では水道水にも混ざり、住民の血液中に蓄積され低体重児や、腎臓がんになり問題になっています。
沖縄だけでなく、立川市(東京)や摂津市(大阪)など、日本中が汚染されています。摂津市のダイキンは製造過程で使用し、淀川に排出したため、大量に水道水に流入しました。瑞光寺や寂光院の地下水にも含まれていることを、京都大学の研究グループが報告しています。PFASの危険性をしっかり学び、血液検査で自分たちの健康を取り戻し、米軍に対し使用しないよう声を上げましょう。
2日目は京丹後市経ヶ岬のXバンドレーダー基地の現地見学会。Xバンドレーダーは、朝鮮民主主義人民共和国を監視するための米国のレーダーで、2015年に本格稼働しました。地元の三野みつるさんたちは、安倍・オバマが計画したころから「米軍基地を憂う宇川有志の会」を立ち上げ、反対運動を始めました。
宇川地域には戦後1958年まで米進駐軍が駐留。当時を知る人たちは、いろいろ問題が起きていたと言っています。日本政府は、米国のための軍施設の受入れを、日米地位協定を改めることなく、犯罪を取り締まる法もなく、住民の危惧には何一つ応えることもなく進めました。米兵やレイセオン社(注3)などの軍属の住宅を作り、軍により頻繁に起こる交通事故にも、きちんと話し合いに応じていません。米国は、日本(人)を対等とは認めていないのでしょう。
次々と起こる難題が地域住民を苦しめています。パット・エルダーさんは基地近くの水を採取し汚染を調べています。軍事基地は日本から出て行ってもらいましょう。
(石川豊子)
(注1)VFP、85年、アメリカで元軍人と家族らにより結成された国際的平和団体。(注2)熱に強い、燃えにくい等があり、コーティング剤、消火剤などに使用。自然界では分解されず長期間残存する。(注3)レイセオン・テクノロジーズ。世界第1位の軍需産業。軍・政府系の仕事を手がける。
