福島県浪江町から避難を続ける菅野みずえさん=10月22日、関電本店前(大阪市北区)

関電は2021年、老朽原発の高浜1・2号機、美浜3号機の再稼働の是非をめぐる議論の中で、23年末までに県内の原発から出る使用済み核燃料を搬出する中間貯蔵施設の計画地点を示せなければ、この3基を廃炉にすると約束していた。この約束を破って、老朽原発3基を再稼働した関西電力に対する抗議集会が、10月22日、関電本店前(大阪市北区)で行われた。主催は老朽原発うごかすな! 実行委員会。500人が参加した。
関電は、使用済み燃料200トン(全体の5%)を2020年代後半にフランスに搬出することが「使用済み核燃料の県外搬出と同等の意義がある」と詭弁(きべん)を弄し、国もこれを認めた。また、関電と中国電力は山口県・上関町に、使用済み核燃料の貯蔵地建設のための調査を押し付けようとしている。集会では原発に反対する上関町民の会、上関原発を建てさせない祝い島島民の会など、原発建設に反対する5団体連名のメッセージが紹介された。
上関では、原発によって町民が長年、賛成、反対に二分させられてきたが、福島第一原発事故をきっかけに原発に頼らない街づくりを目指す動きが出てきた。ところがこの中間貯蔵地建設計画でまた、町内に対立が生まれようとしている。メッセージは、脱原発社会の実現へ闘おうと呼びかけた。

軍需産業に門戸を開く

福島県浪江町から避難を続ける菅野みずえさん(写真)は浜通り(福島県東部)の現状を次のように語った。「事故が起きると問題は被ばくだけではない。何がすごいかって経済界がものすごくもうける。人がいなくなった土地で好き放題やる。事故を起こしたらそれだけではすまない。特に軍需産業にたいしてものすごく門戸を広げていると思う。もしも福井(の原発)で何かあったら軍需産業はもろ手をあげてそこに向かうだろう」。

原発事故を利用する国

菅野さんの発言にあった「軍需産業にたいして門戸を開く」とは「福島イノベーション・コースト構想」という国家プロジェクトのことのようだ。廃炉・復興の名のもとに、浜通りに新たに軍事技術の研究拠点が作られようとしているのである。原発を「国策」として推進してきた国は、福島事故の謝罪や責任を取ることをせずに、事故に便乗して、こんなことをしているのである。がく然とする思いだ。大阪では12月3日に原発推進に反対する集会が開かれる是非参加を。(池内潤子)

とめよう! 原発依存社会への暴走 1万人集会 12月3日(日)午後1時/靭(うつぼ)公園(大阪市西区)/地下鉄中央線・四ツ橋線本町駅下車、中央線阿波座駅下車/主催:老朽原発うごかすな! 実行委員会