沖縄県民平和大集会で=11月23日、那覇市・奥武山公園

11月23日、那覇市で県民集会が開かれました。主催は「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」です。「オール沖縄」ではありません。立ち上げとか運営は若い人たちが中心でした。
「争うよりも愛したい」と言葉が入っています。国家の言葉・論理と民衆のそれは違う場合が多いですが、日本と中国、アメリカと中国など「国と国とは、争うよりも愛しなさい」というメッセージでしょう。私たちは「争う」という自国に対しては、「争うな」と迫ります。
当日の参加者はやはり1万人に近かったと思いますが、「オール沖縄」が「県民の会」に参加することをもう少し早く決断しておれば、もっと参加者は増えたはず。それぞれの「島ぐるみ」も貸し切りバスを借りるなどの体制を組むことができたし、その日に他のイベント日程を入れなかったのに、と我が読谷の動きから考えました。

有事を煽り自衛隊配備

今回の「大集会」は、台湾有事を煽っての自衛隊配備にストップをかけるものであり、辺野古代執行裁判への抗議、牽制です。タイトルには掲げなくとも、参加者はそのような意味合いがあることを知っています。代執行判決の結論は「沖縄県の敗訴」だろうと想像しますが、この判決を出す時期がいつなのかが焦点になります。「大集会」の前に出すことができなかったし、「大集会」に集まった人数からも、すぐ後には出せないと思います。
判決が出ると、今度はオール沖縄で「県民大会」を行う必要があります。「県民大会」と「県民集会」は違っており、「大会」は保守も含めた会です。オール沖縄は保守も含めた組織です。「県民大会」と「県民集会」についての名称は以前に論議になった経過があり、今回の「県民大集会」はそれを踏まえた名称なのでしょう。「集会」の方は「この指止まれ」という傾向を持っています。

代執行裁判に抗する

閑話休題、代執行裁判です。地方自治が問われています。全国を巻き込んだ抗議が必要なのですが、心配があります。今回の代執行裁判に抗議するという各自治体の反応は、報道によると新潟県の県内市町村全議員のうち85名が賛同。新潟、大分、静岡、群馬、千葉の5県の県議や市町村議が「訴訟取り下げを政府に求める声明」を発表したくらい。議会決議に及んだ市町村はありませんでした。
2019年8月、辺野古県民投票のときに結成された「新しい提案」実行委員会が、全国に呼び掛けた辺野古建設中止の議決要請では、30議会が意見書可決や要旨可決をしたのに比べると大変な差です。最高裁判決には従うべきと考える議員、議会が多いのでしょうか。
さて集会のテーマの件。琉球列島に自衛隊配備が着々と進んでいます。今年は、大規模な日米の軍事訓練も行われました。着実に琉球列島の軍事化が進んでいます。

本土 沖縄の報道落差

この状況を踏まえた県民大集会。サブテーマは「対話による信頼こそ平和への道」でした。翌日の『沖縄タイムス』『琉球新報』は、ともに1面はカラー写真、トップ大見出しは「沖縄軍事化に反対」でした。
本土の新聞は、どうでしょう。朝日新聞は22面の右上段に白黒写真で小さ目に掲載していました。毎日新聞も同じようだったとのこと。他の新聞も「推して知るべし」でしょう。羽鳥モーニングショーの番組でも流していません。テレビでも無視されたと思います。
この落差はなんでしょうか。沖縄だけが戦火の当事者になり、戦火の被害は本土に及ばないという想定での報道でしょう。避難訓練も、本土は攻撃されないという前提で「どう、本土へ移送するか」という机上訓練です。沖縄だけでは止められません。なのに、このような報道では。「日暮れてみち途遠し」の感があります。

戦争をさせない道こそ

辺野古基地ゲート前でよく歌われる『今こそ立ち上がろう』の元歌は、『美しき5月のパリ』。五月革命と呼ばれたときに歌われました。作詞作曲は不詳、加藤登紀子の訳があります。山城博治編訳は、出だしが「沖縄の道は~沖縄が拓く」と歌われます。「沖縄の道」とは「戦争をさせないという沖縄の闘いの道」の意味ですが、決して「沖縄だけが拓く」ことにならないことが必要です。全国と共にでないと勝てませんよ。
♪沖縄の道は沖縄が拓く/戦世を拒み平和に生きるため/今こそ立ち上がれ 今こそ奮い立て♪
23日の「大集会」では「戦争を知らない子どもたち」が歌われました。若者が中心の集会であることを印象づけました。